厚生労働省の対応

厚生労働省は感染した動物への対応を以下の通りに示しています。

<獣医師>
感染動物は、他の動物に感染が広がる可能性を考慮して隔離して入院させることが推奨されます。感染動物への処置を行う場合は、ほかの動物や処置を行うスタッフへの感染予防を考慮して手袋、マスク等の防護を行って処置を実施してください。動物の治療や世話に用いた手袋等は(可能であれば高圧蒸気滅菌後)感染性廃棄物として廃棄してください。感染動物については、入院させて、抗菌薬(エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン等のマクロライド薬)を投与してください。なお、治療を行った動物については、再検査の結果、本菌が分離されなければ、他の動物や人へ感染はしないと考えられます。

<飼い主>
当感染症は、犬、猫等の動物から人に感染する可能性のある人獣共通感染症です。飼育している犬や猫が咳やクシャミ、鼻水などの風邪様症状、皮膚炎、皮膚や粘膜潰瘍などを示しているときは、早めに獣医師の診察を受けるようにしてください。また、こうした犬や猫に触る場合は、過度な接触を避け、触った後は手洗いなどを励行してください。

なお、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou18/corynebacterium_02.html)に本菌に関するQ&Aが書かれており、詳しいことが分かりますので参照にして下さい。


1)Otsuji K, et al.: The first case of Corynebacterium ulcerans infection in Japan. JMM Case reports 2017:4(8): e005106 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5610708/
2)勝川千尋ほか:本邦で初めて犬から分離されたジフテリア毒素産生性Corynebacterium ulcerans.IASR 29:51, 2008. http://idsc.nih.go.jp/iasr/29/336/kj3364.html
3)Katsukawa C.et al.:Prevalence of Corynebacterium ulcerans in dogs in Osaka, Japan. J Med Microbiol 61:2660-273, 2017.
4)Lartigue M et al. : Corynebacterium ulcerans in an immunocompromised patient with diphtheria and her dog. J Clin Microbiol 43:999-1001, 2005.


田村 豊 Yutaka Tamura

酪農学園大学名誉教授

1974年 酪農学園大学酪農学部獣医学科卒業
1974年 農林水産省動物医薬品検査所入所
1999年 動物分野の薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)の設立
2000年 検査第二部長
2004年 酪農学園大学獣医学部獣医公衆衛生学教室教授
2020年 定年退職(名誉教授)

こちらの記事もおすすめ