■はじめに/読者の皆様へ
皆さん、初めまして。酪農学園大学の田村 豊と申します。
今年の26月まで獣医学群食品衛生学ユニットに所属し、獣医学生に対して獣医公衆衛生学の教育と、
動物と環境由来薬剤耐性菌の分子疫学に関する研究に従事していました。
今回、縁あってEDUWARD MEDIAにおいて獣医学関連の最新の話題について
「今週のヘッドライン 獣医学の今を読み解く」と題して
シリーズでコラムを書かせていただくことになりました。
大学の講義の最初に「今週のヘッドライン」として話していた、獣医学関連の話題を継承するものです。

毎週のように獣医学関連のニュースが引きも切らずに国内外から公表されています。
今回は読者が小動物医療関連の獣医師や動物看護師が中心ということで、
小動物医療関連の話題を中心に解説していきたいと思います。

また、獣医学全般の話題でも皆さんに知っておいて欲しいものも取り上げます。
世界で刻々と動いている獣医学の今を肌で感じていただければ幸いです。
是非とも興味を持っていただき、継続してお読みいただけることを期待しています。

酪農学園大学名誉教授 田村 豊

はじめに

ペットといえば犬と猫に限られていたものが、いつしかそれ以外の動物もペットとしての市民権を得るようになりました。ペットとして飼育すれば、当然のことながら様々な疾病に罹患することになり、ひいては動物病院に来院する機会も増えています。しかし、残念なことに日本の獣医系大学のカリキュラムには、犬や猫以外の動物の医療に関する専門科目が非常に限られていますし、専門教員も不足しています。そこでこのようなエキゾチックアニマル(Exotic animal)の獣医療について独学で勉強して、診療対象にしている動物病院も散見されるようになりました。一方、エキゾチックアニマルの中には法律で厳しく規制されている動物種、例えば特定動物など飼育が禁止されている動物も含まれています。そこで今回はエキゾチックアニマルとしての野生動物について紹介し、どこまで飼育が許されるかとの視点で考えてみたいと思います。