エキゾチックアニマルには明確な定義がない

まず、エキゾチックアニマルの定義について紹介したいと思います。いろいろと調べてみましたが、獣医師やペット業者の間で慣例的に使用される言葉であって、残念ながら明確には定義されていないようです。主に海外から輸入され飼育されている動物を指し、外国産の野生動物に使われることが多いようです。しかし、在来種であっても家禽やウサギなども含めるようです。また、米国の行政法であるCode of Federal Regulation(連邦規則集)(9CFR 1.1)において、ペット動物とは「家庭で一般的にペットとして飼われている動物で、例えば犬、猫、モルモット、ウサギ、ハムスターなど」とされており、理由は不明ながら、「この用語は、エキゾチックアニマルと野生動物を除く」とされ、連邦規則集の規制外とされています。エキゾチックアニマルの定義としては、「外国原産の動物、外国起源または性質を持つ動物、米国原産ではない動物、または外国から持ち込まれた動物」とされています。したがって、日本と米国に統一した定義に関する見解は存在しないようで、概念的に犬や猫以外でペットとして飼育されている動物全般を指しているようです。

エキゾチックアニマルには多くの野生動物が含まれています。国内では飼育が厳しく制限されている野生動物の動物種も多くあり、どこまで家庭で飼育して良いか不安に思っている飼い主も多くいられると思います。私たちの周りには多種多様な野生動物が生息しており、人間を含めて一つの生態系を形成しています。しかし、人間の活動や環境変化により、生物種の絶滅が進行しており、生態系を維持するため野生生物の保護・管理を目的に様々な法律で規制をおこなっています(図1)


▲図1.日本の野生生物保護体系
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/2.html#anc04



絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存のために日本国内での取引などは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)¹⁾によって規制されています。国際的な輸出入の規制は、「ワシントン条約」になります。種の保存法で指定される国内希少野生動物種は、2021年1月で鳥類45種、哺乳類15種、爬虫類11種、両生類14種、魚類10種、昆虫類52種、陸産貝類48種、甲殻類6種の計201種になります(http://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/list.html)。

これらの動物種の取引などは原則禁止です。具体的には、「あげる・売る・貸す/もらう・買う・借りる」などです。ただし、登録した個体同士で繁殖した個体や、規定適応前に国内で取得した個体、関税法で許可を受けて輸入された個体については、登録機関(自然環境研究センター)に申請して登録を受けることにより取引などが可能になります。登録された希少な野生動物には登録証(図2)が発行されますので、動物の入手にあたって必ず確認することが必要です。


▲図2.国際希少野生動植物登録票


登録証には、登録記号番号、種の名称、個体の区分、主な特徴などが記載されています。譲渡しなどによる飼い主の変更や、飼い主の氏名・住所が変更した場合は、30日以内に登録機関へ届出を行うことになっています。

また、動物が死亡して?製や標本にした場合も、登録証の区分の変更登録が必要になります。死亡した個体を廃棄する場合は、登録証の返納が必要になります。野生動物の中には希少価値が高い動物種もおり、動物の保護・管理を徹底するため、正規のルートで取得した野生生物を飼育するにも、厳格な規制が行われているのです。