(株)フジタ医科器械、国立がん研究センター東病院、メディエリアサポート企業組合、(株)ソフケン、自治医科大学の 5 者が共同開発した筋電計「MyoWorks プラス」が医療機器として薬事認証されました。
ニュース概要
2024 年 8 月 29 日
株式会社フジタ医科器械
国立研究開発法人国立がん研究センター
メディエリアサポート企業組合
株式会社ソフケン
学校法人自治医科大学
発表のポイント
・株式会社フジタ医科器械、国立がん研究センター東病院、メディエリアサポート企業組合、株式会社ソフケン、学校法人自治医科大学の 5 者が共同開発した筋電計「MyoWorks プラス(マイヨワークスプラス)」が医療機器として薬事認証されました。
・ 筋電計「MyoWorks プラス」は、排泄機能障害のある患者さんが筋電を活用した骨盤底筋群のトレーニングに使用する筋電計です。本製品を使用することにより、骨盤底筋群および腹筋の収縮程度を示す筋電波形をタブレット等の画面上で容易に確認することができ、排泄機能の改善に向けた骨盤底筋群のトレーニングを行うことができます。
概要
株式会社フジタ医科器械(代表取締役:前多 宏信、東京都文京区)、国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉、東京都中央区)東病院(病院長:土井 俊彦、千葉県柏市、以下国立がん研究センター東病院)、メディエリアサポート企業組合(代表:国里 光博、岡山県岡山市)、株式会社ソフケン(代表取締役:駒村 武夫、千葉県白井市)、学校法人自治医科大学(理事長:大石 利雄、栃木県下野市)、は、筋電を活用した排泄機能障害の改善を目的とした骨盤底筋群のトレーニング向け筋電計「MyoWorks プラス」を共同開発し、2024 年 4 月 27 日に医療機器認証を取得しました。
この共同開発は、国立がん研究センター東病院 NEXT 医療機器開発センター※が支援し 2018 年 7月 18 日から開始され、本年 4 月に製品化および医療機器認証取得に至ったものです。
背景
肛門括約筋や肛門挙筋で構成される骨盤底筋群は、尿道や肛門を絞めたり緩めたりする筋肉ですが、リハビリテーションで患者さん自身の筋肉が効果的に作用しているのか分かりにくいといった問題がありました。特に、骨盤底筋群および腹筋の収縮について定量的な測定ができないことから、骨盤底筋群のみを効果的に動かせているかどうかは、患者さん自身の感覚に頼らざるを得ませんでした。これは、患2者さんにとっても医療従事者にとっても客観的にリハビリテーション効果を判断することを難しくしている問題点です。こうした問題点の解決のため、筋電計 MyoWorks プラスを利用した骨盤底筋群のトレーニング(バイオフィードバック療法)は、骨盤底筋群および腹筋の収縮程度を示す筋電波形をモニター画面上で確認でき、医療従事者と患者双方に筋肉の収縮程度が可視化されます。
MyoWorks プラスは、医療者がより簡便に利用でき、小規模な医療施設でも導入可能な医療機器をコンセプトに開発が進められてきました。
筋電計 MyoWorks プラスの構成
(写真には認証、届出品目外の併用する一般医療機器 単回使用心電用電極と併用する非医療機器のタブレットと USB ケーブルも写っております)
「MyoWorks プラス」について
MyoWorks プラスは、より多くの医療事業者が、排泄機能障害に悩む患者さんに寄り添い、骨盤底筋群のトレーニングを効果的に行えるよう開発されました。高額な専用モニターを使用せず、汎用品のAndroid OS*1 に対応したタブレットと接続して使用することを想定しています。本体も小型で持ち運びも容易な設計となっており、携帯しての使用が可能です。タブレットの画面上で骨盤底筋群と腹筋の筋電波形を確認することができます。
ソフトウェア開発において、患者さんにとっては自身の骨盤底筋群の筋収縮を、医療従事者にとっては測定結果の視認性がよいインターフェースにしました。(画像 1)骨盤底筋群のトレーニング際に肛門管に挿入する「プローブ」は、患者さんごとに使用できるようディスポーサブルとし、衛生面に配慮した製品を実現しました。(画像 2)
骨盤底筋群のトレーニング実施時のデータは、タブレット内に PDF ファイル形式で保存することができ、レポートとして印刷も可能です。経時的な測定結果の推移を確認することで、診療に応用できます。また、研究者向けデータとして筋電図波形を csv ファイル形式で保存することもできます。
MyoWorks プラスは、小型でベッドサイドに設置しやすいため、様々な診療の場面でセッティングが可能です。このようなポータブルでの使用も見据えて、装置本体の駆動を乾電池方式としています。デザインは専門のデザイナーに協力してもらい、排泄をイメージさせないよう工夫しました。
(*1 Android 並びに Android OS は Google 社の登録商標です。)
画像1 タブレット画面の筋電図。骨盤底筋群トレーニング時の表示
画像2 肛門管に挿入するプローブで左部分がディスポーザブルになっている
株式会社フジタ医科器械 代表取締役 前多 宏信のコメント
骨盤底機能障害に対するリハビリテーションのマーケットは成長分野と考えて、本研究開発を統括するかたちでここまで取り組んできました。開発早期から自治医科大学の協力を得てアンケートを積極的に行い、ニーズ調査を行ったことと、NEXT 医療機器開発センターの充実したサポートがあったことが成功の鍵だと思っています。
国立がん研究センター東病院 大腸外科 クオリティマネジメント室長 西澤 祐吏 医師のコメント
直腸がん術後の排便機能障害の研究を進める中で、便失禁診療を普及させる必要性を感じ、バイオフィードバック療法の医療機器開発を行ってきました。MyoWorks プラスが直腸がん術後における患者QOL の向上に貢献できれば幸いです。
メディエリアサポート企業組合 代表 国里 光博のコメント
手軽で性能が良いバイオフィードバック療法機器を開発することは、従来からの夢でした。今回素晴らしいコンソーシアムメンバーと共同開発をすることで夢を叶えることができました。小さなクリニックにも本製品を導入していただき、便失禁診療の普及に努めたいと思っています。
株式会社ソフケン 代表取締役 駒村 武夫のコメント
患者さんに清潔で快適なプローブを使っていただくことを目標に、自社の技術を余すところなく投入して開発したプローブです。多くの患者さんが使ってくれて、骨盤底機能障害の患者さんに貢献できれば幸いです。
学校法人自治医科大学 医学部外科学講座消化器外科部門 教授 味村俊樹のコメント
骨盤底リハビリテーションの一種であるバイオフィードバック療法は、便失禁や便秘などの排便障害診療において不可欠な治療法です。今回開発された製品は、純国産機器としてバイオフィードバック療法に対応できる医療機器となります。
※NEXT 医療機器開発センターについて
NEXT 医療機器開発センターは、産学官・医工連携で臨床ニーズに基づいた次世代に望まれる革新的医療機器を開発するため、国立がん研究センター東病院に 2017 年 5 月に開設された組織です。医療機器企業、ものづくり企業、アカデミア、そして地域との連携で、医療機器開発を推進するとともに、臨床試験・治験のフィールドで医療機器開発を支援しています。また、臨床と隣り合わせのインキュベーション施設として人材育成、情報発信に取り組んでいます。
医療機器認証及び届出に関する情報
一般的名称 : 筋電計 特定保守管理医療機器
販売名 MyoWorks プラス : 認証番号 第 304AFBZX00003000 号
一般的名称 :体表面筋電計電極
販売名 MyoWorks プラス 骨盤底筋用プローブ : 届出番号 13B1X10237MW0001
一般的名称 :体表面筋電計電極
販売名 MyoWorks プラス 腹筋用ケーブル : 届出番号 13B1X10237MW0011
一般的名称 :体表面筋電計電極
販売名 MyoWorks プラス 骨盤底筋用プローブ用ケーブル : 届出番号 13B1X10237MW0012
お問い合わせ先
本製品・取材に関する問い合わせ
株式会社フジタ医科器械
代表取締役 前多 宏信
東京都文京区本郷三丁目 6 番 1 号 フジタビル
電話番号:03−3815−8810 E メール:info@fujitaika.co.jp
ホームページ:http://www.fujitaika.co.jp/5
株式会社ソフケン
ホームページ:https://www.sofken.co.jp/
問い合わせ窓口(E メール):medic@sofken.co.jp
メディエリアサポート企業組合
ホームページ:https://mediarea-support.com/
問い合わせ窓口:https://mediarea-support.com/contact/mail/
学校法人自治医科大学
ホームページ:https://www.jichi.ac.jp/
問い合わせ窓口:https://www.jichi.ac.jp/inquiry/
研究に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター東病院
NEXT 医療機器開発センター事務局
電話番号:04-7130-0199
E メール:NEXT_AxL@east.ncc.go.jp
取材に関する問い合わせ
国立研究開発法人国立がん研究センター
企画戦略局 広報企画室(柏キャンパス)
電話番号:04-7133-1111(代表)
E メール:ncc-admin@ncc.go.jp