こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
今回は膝蓋骨内方脱臼に関する論文をご紹介いたします。
こちらの動画と合わせてご活用ください!

◇トイプードルの膝蓋骨内方外方脱臼整復術
 講師:川合智行先生(横浜山手犬猫医療センター)
 https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1001112/

膝蓋骨内方脱臼を認めるフレンチブルドッグと認めないフレンチブルドッグの膝蓋骨の3次元運動

背景:
フレンチブルドッグは他犬種に比べ、有意に大きな大腿骨外旋・外転を示す。
我々は、この特異な脚の運動学的特徴が膝蓋骨の動きに影響を与え、膝蓋骨内側亜脱臼(MPSL)や膝蓋骨内側恒久性脱臼(MPPL)を誘発する可能性の有無に興味をいだいた。
我々は、立脚時に脚を外転させることにより、大腿直筋の内側への牽引方向が異常になり、運動時にMPSLあるいはMPPLの発生を促進する可能性があると仮定を立てた。この仮説を検証するために、7頭のフレンチブルドッグ(成犬、メス)のトレッドミル歩行およびトロット走行時に収集した既存の膝関節のX線シーケンスを解析した。また、Scientific Rotoscopingを用いて、膝蓋骨の3次元運動特性を推定した。

結果:
膝蓋骨の3次元運動は、回転と並進から構成される。7頭のうち3頭がMPSL、1頭がMPPLを呈していた。
膝蓋骨内側脱臼(MPL)は両脚ともつま先立ちの際に多く発生した。また、膝蓋骨の位置は歩行と無関係であった。MPLを有する犬では、MPLを有しない犬に比べ、touch-down(TD)時およびmid swing時に有意に遠位(p = 0.037)、mid swing時に有意に内方(p = 0.045)に膝蓋骨が配置されることが明らかとなった。

結論:
MPLは、体幹が広く骨盤が広いために、立位時の膝関節の位置が傍矢状から大きく離れていることに起因すると考えられた。この特異な脚の方向は、大腿直筋と大腿四頭筋による内側への横引きを引き起こし、成長期の大腿骨と脛骨の塑性変形を引き起こすと考えられた。したがって、MPLを回避する方法として、痩せた体型かつ骨盤の狭い犬を選別して繁殖を管理することが考えられる。
実際の整形外科的検査に基づく繁殖管理プログラムは、誤差が生じやすい。系統的な誤差は、グレーディングシステムが犬の状態や獣医師の膝関節の触診の能力に大きく依存することから生じる。今回の結果から、TD時、あるいは起立時の膝蓋骨の位置は、MPLの客観的なX線診断の可能性を提供するものと思われる。


Three-dimensional motion of the patella in French bulldogs with and without medial patellar luxation.
Lehmann, S. V., Andrada, E., Taszus, R., et al.
BMC Vet. Res., 2021; 17(1): 76.
PMID: 33579272.

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