■はじめに/読者の皆様へ
皆さん、初めまして。酪農学園大学の田村 豊と申します。
今年の35月まで獣医学群食品衛生学ユニットに所属し、獣医学生に対して獣医公衆衛生学の教育と、
動物と環境由来薬剤耐性菌の分子疫学に関する研究に従事していました。
今回、縁あってEDUWARD MEDIAにおいて獣医学関連の最新の話題について
「今週のヘッドライン 獣医学の今を読み解く」と題して
シリーズでコラムを書かせていただくことになりました。
大学の講義の最初に「今週のヘッドライン」として話していた、獣医学関連の話題を継承するものです。

毎週のように獣医学関連のニュースが引きも切らずに国内外から公表されています。
今回は読者が小動物医療関連の獣医師や動物看護師が中心ということで、
小動物医療関連の話題を中心に解説していきたいと思います。

また、獣医学全般の話題でも皆さんに知っておいて欲しいものも取り上げます。
世界で刻々と動いている獣医学の今を肌で感じていただければ幸いです。
是非とも興味を持っていただき、継続してお読みいただけることを期待しています。

酪農学園大学名誉教授 田村 豊

はじめに

母親が生み出す子の性別は、一般にオスとメスが1:1の比率になると思われています。しかし、ある昆虫種において、メスばかり生まれる系統があることが知られています。また、三毛猫ではメスばかり生まれますし、人間でもわが国の人口性比(女性100に対する男性の比率)は年度が変ってもほぼ95%前後で女性が多いことが知られています。なぜこのような現象が起こるのでしょうか? 片方の性に偏るということは種の維持にも影響する重大な問題を含んでいます。今回は生物の性別を決定する因子の話題です。