「ネコにマタタビ」や「お女郎に小判」という諺は、大好物の例えとして古くから使われてきました。実際にネコにマタタビを与えると、まるで陶酔したように楽しく動き回る姿を観察することができます。今から60年余り前の研究で、このような行動を起こす原因がマタタビに含まれる「マタタビラクトン」という物質が関連すると報告されていました。

しかし、ネコがこのような行動を起こす詳細なメカニズムは不明でありました。今般、日本の研究者がこの謎に迫り、メカニズムを解明したとのニュースが国内外で報道され注目されています。そこで今回は「Science Advances」に公表された論文から、ネコのマタタビに対する行動のメカニズムとその意義について紹介したいと思います。

ネコに強い作用を示す「ネペタラクトール」

まず研究グループはマタタビの葉からカラムクロマトグラフィーという技術で、ネコの反応(顔を擦り付けたり体を回転すること)を指標に反応物質を単離精製したところ、イリドイド類の「ネペタラクトール(nepetalactol)」という物質でした。ネペタラクトールはマタタビラクトンよりも強い作用を示し、葉に含まれる量も10倍以上ありました。

次に化学的に合成したネペタラクトールを濾紙に吸い込ませて、15匹の実験用ネコに作用させたところ、図1のようにネコの反応する時間(秒)が対照に比べて有意に長いことが分かりました。この作用は同じネコ科のアムールヒョウやジャガーなどでも同様でしたので、ネコ科動物に対する共通の現象であることが分かりました。


図1.ネペタラクトールのネコに対する反応