アレルギーの種類と現状

アレルギーとは食物アレルギー、薬物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎(花粉症)、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎など、さまざまな疾患の総称です。中でも緊急性があり、生命の危険が考えられる状態がアナフィラキシーです。わが国の学童期のアレルギー疾患の疫学(図1)¹⁾を紐解いてみると、2008年の喘息有症率は幼稚園児で19.9%、6?7 歳児で 13.8%と報告されています。


アトピー性皮膚炎は4か月から6歳で12%前後に認められています。食物アレルギーは乳幼児で16.5%、学童期で4.6%と報告されています。

さらに悩ましいのは、アレルギー疾患が明らかに増加傾向にあることで、このままでは国民のほとんどが何らかのアレルギー疾患を抱えることになりそうです。アレルギー疾患の基本的な治療は、大きく分けると「症状を抑える治療」と「炎症を抑える治療」、そして「免疫療法」があります。鼻水やくしゃみ、皮膚のかゆみには、抗ヒスタミン剤が使用されます。

喘息発作には気管支拡張剤が、アナフィラキシーにはアドレナリン注射薬が使われています。アレルギー疾患の一部ではアレルギー性の炎症が起こり、炎症を抑える薬としてステロイド剤が使用されていますが、長期間の投与により全身に様々な副作用が現れるので注意が必要です。これらの治療法はアレルギーの本体に直接対処するものでないため、完治することは非常に難しいものです。そこでアレルゲンを少量、長期間投与するアレルゲン免疫療法がおこなわれています。ただし、アレルゲンを投与することでアレルギー反応が出現する可能性があり、専門的な医師の指導により適切に行う必要があります。また、治療期間も2年以上が必要になり、なかなか取組みにくい治療法となっています。以上のように現在のアレルギー疾患の治療法はまだまだ開発途上といったところです。