■はじめに/読者の皆様へ
皆さん、初めまして。酪農学園大学の田村 豊と申します。
今年の31月まで獣医学群食品衛生学ユニットに所属し、獣医学生に対して獣医公衆衛生学の教育と、
動物と環境由来薬剤耐性菌の分子疫学に関する研究に従事していました。
今回、縁あってEDUWARD MEDIAにおいて獣医学関連の最新の話題について
「今週のヘッドライン 獣医学の今を読み解く」と題して
シリーズでコラムを書かせていただくことになりました。
大学の講義の最初に「今週のヘッドライン」として話していた、獣医学関連の話題を継承するものです。

毎週のように獣医学関連のニュースが引きも切らずに国内外から公表されています。
今回は読者が小動物医療関連の獣医師や動物看護師が中心ということで、
小動物医療関連の話題を中心に解説していきたいと思います。

また、獣医学全般の話題でも皆さんに知っておいて欲しいものも取り上げます。
世界で刻々と動いている獣医学の今を肌で感じていただければ幸いです。
是非とも興味を持っていただき、継続してお読みいただけることを期待しています。

酪農学園大学名誉教授 田村 豊

はじめに

臨床獣医師の皆さんは飼い主に対して、正確に情報を伝えることに難しさを感じていないでしょうか? 病気の状況や服薬の指導、生活上の注意点などを動物の飼い主に正確に伝えなければ病気の動物の生命にも影響を及ぼす可能性がある場合などは特に神経質になるものと思います。一方、飼い主もさまざまな知識レベルがありますし、動物に対する思い入れも各人各様であり、獣医師の通り一遍の説明では納得が得られないことも多いことと思います。そこで今回は獣医師である我われが情報を正確に伝えることの難しさについて、薬剤耐性対策の事例から考えてみたいと思います。