医薬部外品

一般用医薬品に似たものに医薬部外品があり、人体用も動物用もあります。これは日本独特の分類名で、スーパーや雑貨店で皆さんが最も目に触れる機会が多いものです。医薬部外品は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)の第 2 条に以下の定義が記載されています。

「医薬部外品」とは、次に掲げる物であって人体に対する作用が緩和なものをいう。
 1.次に掲げる目的のために使用される物であって機械器具等でないもの
  イ 吐き気その他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
  ロ あせも、ただれ等の防止
  ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
 2.人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物
  の防除の目的のために使用される物であって機械器具等でないもの

人体に対する作用が緩和ということで、成分は限定されますが、医薬品と同じ成分であっても、通常は成分量が医薬品より低濃度であるものです。また、上記のように目的が限定的であり、1 のイ、ロ、ハに該当することが必要です。疾病の診断、治療または予防に使用される通常の医薬品とは厳密に区別されるものです。また、上記の 2 のように生物の防除の目的のために使用される物もありますが、あくまで作用緩和なものをいいます。なお、医薬部外品で国の承認があるものは「医薬部外品」とラベルに明確に表示されていますので容易に区別されます。蛇足ですが薬機法には化粧品についても規制の対象としています。しかし、動物には化粧品に該当するものはありませんので、雑貨扱いとなります。


【参考】
https://www.city.sakai.lg.jp/smph/kenko/iryokusuri/yakuji/kusuri/risk.html


田村 豊 Yutaka Tamura

酪農学園大学名誉教授

1974年 酪農学園大学酪農学部獣医学科卒業
1974年 農林水産省動物医薬品検査所入所
1999年 動物分野の薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)の設立
2000年 検査第二部長
2004年 酪農学園大学獣医学部獣医公衆衛生学教室教授
2020年 定年退職(名誉教授)

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