不必要な抗菌薬の使用は避けなければならない

薬剤耐性菌が蔓延する要因として、抗菌薬の誤用と過剰使用にあるといわれています。獣医領域においても感染症の治療に抗菌薬は必要不可欠な薬剤であり、必要な時には躊躇することなく使用すべきです。しかし、不必要な抗菌薬の使用は避けなければならないことは当然のことです。

抗菌薬の適正使用を推進することにより、今ある抗菌薬の感受性を維持する今回の報告は極めて意義があるものと考えています。さらに今回のように小動物病院の臨床現場から、それも著名な医学系英文誌に公表したことは素晴らしいことであり、栗田先生の情熱と努力に心から敬意を表したいと思います。


1)薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会:薬剤耐性ワンヘルス動向調査年次報告書2020.2021年1月8日 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000715546.pdf
2)Kurita G, Tsuyuki Y, Murata Y, Takahashi T et al., Reduced rates of antimicrobial resistance in Staphylococcus intermedius group and Escherichia coli isolated from diseased companion animals in an animal hospital after restriction of antimicrobial use. J Infect Chemother 25:531-536, 2019.


田村 豊 Yutaka Tamura

酪農学園大学名誉教授

1974年 酪農学園大学酪農学部獣医学科卒業
1974年 農林水産省動物医薬品検査所入所
1999年 動物分野の薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)の設立
2000年 検査第二部長
2004年 酪農学園大学獣医学部獣医公衆衛生学教室教授
2020年 定年退職(名誉教授)

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