経験的治療から標的治療に切り替えることをde-escalationと呼ぶ

医学領域では抗菌薬の適正使用でde-escalationと呼ぶ方法が良く推奨されています。この概念は2005年のATS/IDSA(米国胸部疾患学会/米国感染症学会)院内肺炎ガイドラインから提案されたものです。感染症の治療で使用する抗菌薬の選択方法として、経験的治療(empiric therapy)と標的治療(definitive therapy)に分類されます。
前者は原因菌が判明するまでの間に、比較的広域スペクトルの抗菌薬を使うことをいい、後者は原因菌が特定された後に最適な抗菌薬を使用することをいいます。培養結果が判明した時点で広域抗菌薬をより狭域スペクトルの抗菌薬に切り替えること、つまり経験的治療から標的治療に切り替えることをde-escalationと呼ぶのです。先に述べた事例は原因菌の特定に関連したかはわかりませんが、まさにde-escalationと呼ぶに相応しい事例であると考えられます。今後、他の小動物病院で実践することにより、この有効性をさらに検証することが重要だと考えます。