続き

カラードプラ法を用いると左心室流出路閉塞と僧帽弁逆流の特徴的なシグナルを検出することができる。


図9 上述のDLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫の右傍胸骨長軸左室流出路断面のカラードプラ画像
DLVOTOを表すモザイク状のシグナルが認められる。また、左心房の側壁の方向へ向かう僧帽弁逆流を表すモザイク状のシグナルも認められる。これらの 2 つのシグナルが同時に認められるのは僧帽弁のSAMに特徴的である。
Ao:大動脈、DLVOTO:動的な左心室流出路閉塞、IVS:心室中隔、LA:左心房、LVFW:左心室自由壁、MR:僧帽弁逆流

左側心尖部断面においてパルスドプラ法あるいは連続波ドプラ法を用いると左心室流出路の最大圧較差を推定することができる(エビデンスレベル 低)。


図10 前述のDLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫における連続波ドプラ法を用いて記録した左心室流出路の血流速度波形

心尖部五腔断面において連続波ドプラ法のカーソルをDLVOTOに設定して記録した。DLVOTOにおいては、血流速度のピークが収縮期の後半にくる特徴的な血流速度波形(“ダガー状”と呼ぶ)が記録される。最高速度(本図では 4.74 m/sec)あるいは最高速度から簡易ベルヌーイ式を用いて推定される最大圧較差(本図では90 mmHg)を記録する。

左心室の拡張能(今後の回で紹介)
パルスドプラ法や組織ドプラ法を用いて左心室の拡張能を評価することが推奨される(エビデンスレベル 中、推奨クラス I)。

参考文献
1. Luis Fuentes V, Abbott J, Chetboul V, et al. ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats. J Vet Intern Med. 2020;34:1062-1077.
2. Abbott JA, MacLean HN. Two-dimensional echocardiographic assessment of the feline left atrium. J Vet Intern Med. 2006;20:111-119.
3. Schober KE, Maerz I. Assessment of left atrial appendage flow velocity and its relation to spontaneous echocardiographic contrast in 89 cats with myocardial disease. J Vet Intern Med. 2006;20:120-130.


次回は,「猫の心筋症の診断」の「心臓超音波検査」の項にある、種々の臨床的状況において用いるべき心臓超音波検査のプロトコールについて紹介する( 1 月 18 日に公開予定)。

これまでの連載はこちら
https://media.eduone.jp/list/106/119/


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※VETERINARY BOARD 2021 年 7 月号では、「猫の肥大型心筋症 アップデート -HCMとHCM phenotype-」(監修:中村健介先生)の特集を掲載しています。本連載をご執筆いただいている大菅先生にも症例報告をご執筆いただきました。
出版:エデュワードプレス
サイズ:A4判 96頁
発行年月日:2021年7月15日


本体価格 4,400円(税込)

大菅辰幸 TATSUYUKI OSUGA

2012年 北海道大学 獣医学部卒業
2012年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程入学
2013年 日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2015年 北海道大学大学院 獣医学研究科 博士課程修了、博士(獣医学)
2016年 日本学術振興会 特別研究員(PD)
2016年 北海道大学大学院 獣医学研究院 客員研究員
2016年 北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 学術研究員
2017年 北海道大学大学院 獣医学研究院 附属動物病院 特任助教
2020年 宮崎大学 農学部獣医学科 助教

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