動的な左心室流出路閉塞

動的な左心室流出路閉塞(Dynamic left ventricular outflow tract obstruction:DLVOTO)の有無を評価することが推奨される(推奨クラス I)。DLVOTOの評価は2D画像(Bモード法)、Mモード法、ドプラ法を用いて行うことができる。

2D画像を用いる場合、左心室流出路を注意深く観察すると僧帽弁の収縮期前方運動(Systolic anterior motion:SAM)を検出することができる。また、腱索の収縮期前方運動を検出できる場合もある。

下に示す図は健康な猫(図5)とDLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫(図6)の右傍胸骨長軸左室流出路断面の2D画像(いずれも収縮期のフレーム)である。HCMフェノタイプの猫においては、僧帽弁の前尖が左心室流出路へ変位(SAM)している。


図5 健康な猫の右傍胸骨長軸左室流出路断面の 2D画像
Ao:大動脈、IVS:心室中隔、LVFW:左心室自由壁、LA:左心房


図6 DLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫の右傍胸骨長軸左室流出路断面の 2D画像
Ao:大動脈、IVS:心室中隔、LVFW:左心室自由壁、LA:左心房、SAM:僧帽弁の収縮期前方運動


僧帽弁のSAMはMモード法を用いることによっても検出することができる。

下に示す図は前述の健康な猫(図7)と上述のDLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫(図8)の右傍胸骨長軸左室流出路断面のMモード画像である。健康な猫においては、閉鎖した僧帽弁によるやや上向きの平行な複数の線が収縮期に認められる。HCMフェノタイプの猫においては、図7において認められるやや上向きの平行な複数の線に加えて、僧帽弁のSAMによる上向きの山が認められる。


図7 前述の健康な猫の右傍胸骨長軸左室流出路断面のMモード画像
MV:収縮期の閉鎖した僧帽弁


図8 前述のDLVOTOを伴うHCMフェノタイプの猫の右傍胸骨長軸左室流出路断面のMモード画像
SAM:僧帽弁の収縮期前方運動