今回から、前回までにも出てきた「五臓六腑」などが、どのような働きや関わりを持ちながら生命活動を維持しているのかを順番にお話ししていきます。実際に鍼やお灸を施す「経穴(ツボ)」のお話も出てきますよ!
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

治療効果だけでない鍼灸の良さ
まず前回までの連載で、なぜ寝ている動物の写真が時折挿入されているのかというお声をいただきました。
もちろん患者さんたちの鍼灸中のお写真です。
深く眠っているわけではありませんが、鍼を刺したりお灸をすえたりしている間に、自然と眠くなったり、落ち着いてくれることが多いのです。中には、開始5分でいびきをかいて寝始める患者さんもいらっしゃいます。
もちろん、緊張しやすかったり神経質な患者さんの場合は慣れるのに時間がかかることもありますが、ほとんどの場合、鍼やお灸自体の刺激を拒否することはありません。どうしても鍼を刺す刺激を嫌がる場合は、刺さない鍼での刺激や、指圧のみで行うこともあります。

鍼灸治療の目的はリラクゼーションではありませんが、慢性疾患があったり、生まれつきの骨格のバランスの悪さから常にどこかを傷めやすかったり、「気不足」(第5回参照 https://media.eduone.jp/detail/10975/)の状態だったりする患者さんたちにとっては、気持ち良くなりつつ治療効果も期待できる鍼灸は、もってこいの方法の一つだと日々感じています。
また、食欲や気力がアップすれば、西洋医学的治療の効果を大きくすることにも役立ちます。
私が行っている手技は、できるだけ鍼の数を少なくし、使う経穴(ツボ)の効果を最大限に引き出すものなので、写真でもどこに鍼があるの?とわからなくなるくらいなのですが、実はそれだけでも刺激としては十分で、動物にもやさしい手技なのです。
ただし、使う経穴が少ない分、「どこを使うか?」ということが大切になってきます。
そしてどの経穴を使うかは、四診と中医学的診断(弁証)をして決めますが、その過程で、第5回までにお伝えした「陰陽」「五行」「気」などの大切な考え方と、これからお話する「蔵象(ぞうしょう)論」が診断をする際の重要な材料となります。
