身体検査:うっ血性心不全(Congestive heart failure:CHF)を伴う心筋症

左心不全の猫においては典型的には頻呼吸と努力呼吸のいずれかあるいは両方が認められる。胸水が存在するときには奇異性呼吸を呈することがある。

注…奇異性呼吸:吸気時に腹部が陥凹し呼気時に腹部が突出する(通常とは逆)呼吸様式を指す※2。この呼吸様式は、吸気努力の増加により吸気時に腹腔内臓器が胸郭側へ移動することに起因する。

CHFの猫においては、無徴候の肥大型心筋症の猫と比較して、奔馬調律や不整脈が聴取されることがより多く、心雑音が聴取されることはより少ない。ある報告においては、猫が呼吸困難を呈している場合、呼吸数 >80 回/分、奔馬調律、直腸温 <37.5℃、あるいは心拍数 >200 回/分、のいずれかに合致すれば、呼吸困難の原因はCHFである可能性がより高かった※3

肺水腫が存在するときには肺の聴診においてクラックルが聴取されることがある。胸水が存在するときにはしばしば腹側領域の肺音が減弱している。