前回に引き続き、日常的に輸液を行う病態の1つである脱水について説明します。

それぞれどんな輸液を選ぶべき?
細胞外液が失われた脱水(volume depletion)と細胞内外の水が欠乏した脱水(dehydration)に対して、それぞれどのような輸液製剤を選択するのが適切でしょうか。結論から言うと、volume depletionに対しては生理食塩液やリンゲル液などの等張液、dehydrationに対しては5 %ブドウ糖液などの低張液を選択すべきだと考えられます(図1)。
次にその理由について考えてみましょう。 生理食塩液や乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液などは細胞外液とほぼ同じ浸透圧になるようにナトリウムやカリウム、カルシウムなどの電解質が調整されているため、電解質と水は細胞外に留まります。
一方、5%ブドウ糖液は、投与後にブドウ糖が代謝されるため水だけが補充されるということを説明しました(参照:第 3 回 輸液製剤はからだのどこにいってるの?②https://media.eduone.jp/detail/10629/)。ブドウ糖が代謝されると浸透圧が下がるため、血漿から間質液、細胞内に水分が入っていきます。

図1 5%ブドウ糖液などの低張液であれば浸透圧が下がり、正常な状態に戻る