2019 年に、免疫介在性溶血性貧血(immune-mediated hemolytic anemia:IMHA)の診断・治療に関するコンセンサスステートメントがアメリカ獣医内科学会(American college of veterinary internal medicine:ACVIM)より発表された。IMHAは赤血球に対し自己抗体が産生されることで発症する代表的な免疫介在性疾患であり、特に犬では溶血性貧血の原因として一般的であること、貧血以外の合併症も多く致死率が高いことから、その診断・治療の理解は重要である。

コンセンサスステートメントは、診断編と治療編の 2 部構成となっている。
・ACVIM consensus statement on the diagnosis of immune-mediated hemolytic anemia in dogs and cats.
・ACVIM consensus statement on the treatment of immune-mediated hemolytic anemia in dogs.

診断編は犬と猫に関する記述であるが、治療編は犬のIMHAに限定されている。猫のIMHAの発生率は犬に比べ低く治療に関する情報が少ないこと、また病気の特徴も異なることから、犬の治療編の内容を単純に猫に外挿することはできない点には注意が必要である。

連載第 7 回目は、前回に引き続き、免疫抑制剤の併用について解説する。

レフルノミド

レフルノミドは、さまざまな難治性の免疫介在性疾患に対する治療薬として報告されており、IMHAに関しても 2nd lineの薬剤として治療選択肢となる。しかしながら、その有効性に関して、2nd lineとして使用される一般的な免疫抑制剤(注1)と比較した前向き研究、回顧的研究は報告されておらず、プレドニゾロンの単剤治療と比べて有効かについても不明である。

注1
前述のアザチオプリン、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチルを指すと考えられる。