はじめに

私たちの誰しもが、健康で事故のない平穏な毎日を過ごすことを願っています。しかし、ときに思いも寄らず緊急手術を余儀なくされることがあります。このように外科手術が必要な疾病に罹ったり、事故などにより緊急手術を受けることになった場合、多くの患者は手術日を選ぶことはできません。手術は病院の状況によって、手術日や執刀医が決められるものと思います。患者は常に執刀者である医師に最高のパフォーマンスで手術を受けたいと思いますし、受けていると信じています。

ところが、実際には手術室での医療機器のトラブルや手術とは無関係の会話など、執刀医の注意を逸らすような状況が多く存在すると考えられます。しかし、これまで手術中に注意散漫となる状況が、患者の死亡率に与える影響についてまったく調べられていませんでした。今般、アメリカでの大規模な医療データを用いて、誕生日に執刀医が注意散漫になることや、手術を早く終えようとすることが原因で、執刀医のパフォーマンスが変わるのではないかとの仮説をもとに、執刀医の誕生日と患者の死亡率の関係を調べた論文が公表されました。

掲載された医学雑誌は、世界で最も権威ある医学雑誌であることを考えると、科学的な正当性と研究内容の重要性を推し測ることができます。研究はアメリカでの医療での話であるものの、獣医療としても関連して非常に興味ある内容であることから、ここに研究内容を紹介したいと思います。