2019年、米国獣医内科学会(ACVIM)により犬の粘液腫様僧帽弁疾患(MMVD)の新たなガイドラインが策定された※1

犬のMMVDは、最も頻繁に認められる心疾患であり、無徴候期間が長く、生涯にわたり無治療で経過する症例も存在すれば、うっ血性心不全や死亡に至る症例も存在する。

これらの臨床ステージの重症度の評価法や治療法は日進月歩であり、2009 年に本疾患について初めてのガイドラインがACVIMから報告されて以降※2、多くの臨床研究が実施されてきた。

本連載記事では、12 回にわたって、2019 年にACVIMより報告された「犬のMMVDの診断・治療ガイドライン(2019 ACVIM コンセンサスステートメント)」を要約して掲載するとともに、重要と思われるポイントに解説を加えていく。

第 7 回は第 6 章「6 | GUIDELINES FOR DIAGNOSIS AND TREATMENT OF MMVD」のステージ Cの急性期治療にあたる箇所の翻訳を記載する。

ステージ Cの急性期治療


※1 ピモベンダン投与は急性期のエビデンスは少ないが、血行力学的および実験的エビデンスとパネルの経験から強く支持されている。

※2 ブプレノルフィン(0.0075~0.01 mg/kg)とアセプロマジン(0.01~0.03 mg/kg)の組み合わせや、モルヒネやヒドロコドンなどの他の麻薬も提案された。

※3 ACEIによる治療はステージ Cの慢性管理においてクラス Iで推奨される。急性期治療におけるACEIの有効性と安全性を裏付けるエビデンスは、フロセミドやピモベンダンとの併用ではあまり明確ではない。しかし、急性心不全においてエナラプリルとフロセミドを投与すると、フロセミドのみの投与と比較して肺動脈楔入圧が有意に改善するという明確なエビデンスがある。


■執筆者プロフィール
川元 誠(Sei Kawamoto)
2016 年:北海道大学 獣医学部卒業
2016 年:松原動物病院 勤務医
2018 年:動物心臓血管ケアチーム(JACCT, Japan Animal Cardiovascular Care Team)所属
2020 年:北海道大学大学院獣医学院 博士課程入学


■監修者プロフィール
中村健介(Kensuke Nakamura)
2005 年:北海道大学 獣医学部卒業
2005 年:酪農学園大学附属動物病院 内科研修医
2007 年:北海道大学 大学院獣医学研究科 博士課程入学
2011 年:北海道大学 大学院博士研究員(日本学術振興会特別研究員PD)
2011 年:北海道大学 大学院獣医学研究科 附属動物病院 助教
2017 年:宮崎大学 テニュアトラック推進機構(獣医内科学分野)テニュアトラック 准教授
2020 年:北海道大学 大学院獣医学研究院 獣医内科学教室 准教授

本連載の記事は以下のリンクから読むことができます
https://media.eduone.jp/list/106/113/


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