気になる試験結果は・・・

・供試犬は飼い主が偽の犬と遊んでいるのをみると、リードを強く引っ張った
・隔離壁を設置して、その後ろで飼い主が偽の犬と遊んでいると思ったときにも、リードを引っ張る行動が観察された
・飼い主がフリースで包まれた筒を撫でているとき、犬は反応を示さなかった

以上のことから、犬の引っ張りは本当に嫉妬に基づいていると判断されました。飼い主の腰の下のすべての行動が隔離壁により隠されていたことから、犬の引っ張りは何が起こっているかについて、犬の精神的なイメージによって引き起こされたということになります。これまで、犬は 2~3 歳齢の子供と同じような感情をもつことが明らかにされてきました。つまり、幸福感、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪感、驚きなどです。しかし、罪悪感、プライド、恥、嫉妬などの、より複雑な社会的感情を犬がもつかどうかは明らかでありませんでした。今回の研究により、犬にも嫉妬という感情をもつことが明らかにされたのです。犬の散歩などで飼い主が他の犬に触れるときは、犬の嫉妬に配慮する必要があるのかもしれません。

なお、この実験についてはyoutubeで内容を知ることができます。英語ですが興味ある方はご覧ください。

参考文献
1. Amalia PM Bastos, et al. Dogs mentally represent jealousy-inducing interactions. Psychological Science. April 7. 2021.
https://doi.org/10.1177/0956797620979149


田村 豊 Yutaka Tamura

酪農学園大学名誉教授

1974年 酪農学園大学酪農学部獣医学科卒業
1974年 農林水産省動物医薬品検査所入所
1999年 動物分野の薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)の設立
2000年 検査第二部長
2004年 酪農学園大学獣医学部獣医公衆衛生学教室教授
2020年 定年退職(名誉教授)

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