はじめに

3 月 19 日のコラムで、臨床獣医師の皆さんがよく知っている動物用駆虫薬のイベルメクチンが、世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療における救世主になるのではないかとの論文を紹介しました。ただ、論文は実験室内でのデータであり、野外おける実証試験が求められていました。現在、COVID-19 の蔓延を背景に、世界各国でイベルメクチンの臨床試験が行われており、日々、データが集積されています。このような状況にあって、イベルメクチンの有効性に関して、相反する 2 つの意見があることも事実です。また、日本発の医薬品でありながら、我が国での臨床試験が遅々として進んでいない現実もあります。今般、このようなイベルメクチンのCOVID-19 に対する臨床試験の世界的な動向に関しての詳細な総説が、北里大学大村智記念研究所の八木澤守正先生により日本語1)と英語2)で公表されました。獣医師の皆さんに獣医界に多大な貢献をしたイベルメクチンのCOVID-19 に対する有効性を知っていただきたく、ここに総説の概要を紹介したいと思います。