飼い主さんの要望と、犬の福祉のバランスを保つことが重要

――卒業後に「株式会社Animal Life Solutions」を立ち上げましたが、現在、具体的にどのような事業を行っていますか?

鹿野先生:まずひとつは「一般の飼い主さんへの情報発信」です。これまで培ってきた学問を基盤とした「犬との向き合い方・飼い方」「犬の特性」についての“正しい知識”を飼い主さんに提供することが、私たちのミッションです。相模原の「スタディ・ドッグ・スクール」の企画・運営を行いながら、ドッグトレーナーとしても指導に携わっています。テレビなど幅広くメディアに出ることもその一環で、知られていない「しつけの方法」や「飼い方」を、できるだけ多くの人に伝えていきたいと思っています。

もうひとつは「専門家の育成」です。次世代の専門家を育成するべく、専門学校に出向いて授業を行うようにしています。専門家が古い情報を提供していては、飼い主さんが正しい知識を持つことはできませんから。私が子供の頃から描いていた「人と動物の共生」の実現に向けて、2本柱で事業を進めています。


――情報を発信する上で気を付けていることはありますか?

鹿野先生:一方的に押し付けずに、なるべく飼い主さんの立場にたって伝えることを心掛けています。例えば「お散歩は多く行ってください」「ワンちゃんとの時間を多く作ってください」といっても、生活していく上で難しい飼い主さんもいますよね。忙しくて散歩に行けない、仕事で時間が作れない方に対して、ただ理路整然と正論を一方的に伝えるだけではなんの解決にもなりません。「今、飼い主さんが置かれている状況の中でできること」を考えてあげるのがプロフェッショナルだと思います。

ただ、もうひとつ注意しなければいけないのが「犬の福祉」です。飼い主さんの要望ばかり聞いていても、犬が我慢を強いられるようではいけません。飼い主さんの要望と犬の福祉のバランスを保つことが重要だと考えています。