2022年から施行される、動物看護師の国家資格化。

今後動物看護師にどのような変化が考えられるか、
業務にあたりながら国家試験を受験するために必要なものは何か、

動物看護師、日獣大の助教として獣医療を牽引されている
小野沢 栄里氏にお話を伺いました。

飼い主様とのコミュニケーションが何よりも大切

―現在、獣医保健看護学科の助教と動物看護師の2つの顔を持っている小野沢さんですが、まずは動物看護師になろうと思ったきっかけから教えていただけますか?

小野沢:中学生の頃、飼っていたマルチーズががんを患い長年通院をしていた時に、動物看護師の存在を知ったことがきっかけです。目の前にいる動物だけではなく、飼い主様のケアも行っている姿をみて、こういう職業もあるのだと知りました。もともと動物の医療に携わる仕事には興味がありましたが、その頃は獣医師という仕事しか知らず、初めて「動物看護師」という仕事を知り、私もその道に進みたいと思うようになりました。また、愛犬の影響から動物のがんに対するケアにも興味をもち、多くの子を救いたいなと思いました。
がんを患って死が直面してくる場面が多い中で、自分も経験しているからこそ気持ちが通ずる部分があるはずですので、飼い主様のケアも含めて一生懸命していきたいと思っています。


―研究自体に興味を持ち始めたのはいつ頃からでしょうか?

小野沢:大学に入ってから、研究に対しての楽しさを学びました。動物看護師でも興味のある分野について研究できる道もあるんだと知りました。


―大学付属の医療センターで動物看護師として働くうえで、大切にしていることはありますか?

小野沢:普段のコミュニケーションを大事にしています。
少しの時間でも飼い主様と話すように、診療中は常に心がけています。
もちろん動物の行動から普段どのような生活を送っているか分かることもあります。ですが、さらによく知るためには、その子を一番知っている飼い主様から情報を得ないと分からない部分もあります。バックグラウンドを知るというためには、やはりコミュニケーションが欠かせません。


―確かに、動物看護師の方が積極的にコミュニケーションをとってくださると飼い主様も安心できますし、自然に自分のペットについて話したくなりますよね。
“コミュニケーションを大切にする”ということを後輩の動物看護師の方にはどのように伝えていらっしゃいますか?

小野沢:「自分の意志よりも飼い主様のご意見やお考えを聞く姿勢を大切にしなさい」と伝えています。
自分の知識が付けばつくほどアドバイスをしたくなると思いますが、まず初めに飼い主様がどう思っているかを聞きます。そして、色々な方向性から意見を提示することで、ペットおよびご家庭に合った方法を一緒に見つけていくよう心がけています。