新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延が収まらない状況で、世界各国はワクチン接種に期待しているところです。日本でも新規のCOVID-19ワクチンの審査が行われており、近々に医療関係者から接種が行われる予定です。このワクチン接種に当たって、メディアでは副反応の話題が多く取り上げられ、接種を躊躇する方もいるようです。

一方、獣医師が日頃の診療で使用する医薬品についても、副作用について気にしている方が多いと思います。メディアで目にする機会の多い医薬品の副作用や副反応という言葉について正確に理解しているでしょうか?また、関連する言葉で有害事象というのもありますが、飼い主さんに聞かれても正確に説明できるでしょうか?

ここでは獣医師にとっても重要な医薬品の安全性に関係する言葉の意味と、法律で義務付けられている獣医師による副作用報告について紹介したいと思います。

「副作用」「副反応」「有害事象」それぞれの意味

まず副作用(side effect)ですが、治療や予防のために用いる医薬品の主な作用を主作用といい、主作用と異なる作用を副作用と呼んでいます。広い意味で副作用には、動物にとって有害な作用と有害でない作用の両方が含まれます。一般的に医薬品の副作用は有害である作用について用いられます。医薬品と副作用には因果関係があるものになります。
 
一方、副反応(英語圏では副作用と同じside effect)ですが、ワクチン接種によって免疫を賦与する以外の反応や、接種行為によって有害なものを副反応と呼んでいます。つまり、ワクチン接種について使われる言葉です。ワクチン接種に伴うアナフィラキシーショックはまさに副反応というものです。これもワクチン接種と副反応には因果関係があります。
 
さらに副作用や副反応とともに有害事象(adverse event)という言葉もあります。これは因果関係の有無を問わず、医薬品の投与により起こったあらゆる好ましくない出来事を言います。従来、医薬品を投与して好ましくない作用が現れた場合、因果関係が届出において重要な要素でした。しかし、因果関係の証明は容易でないことから、獣医師や製薬企業の判断で届出にバイアスがかかることが指摘されていました。薬害エイズ事件ではこのことで原因究明が遅れて、被害を拡大させたという苦い経験から、現在では有害事象であれば因果関係の有無に関係なしに届出をすることになっています。以上をまとめると表や図のようになりますので参考にしてください。