「EDUWARD Press社名変更記念セミナー」では、
雑誌「SA Medicine」との連動企画として東京農工大学の大森啓太郎先生を講師に迎え、
「“落とし穴”にはまらない 嘔吐に対する臨床診断思考法」と題した
オンラインセミナーをご講演いただきました。
(セミナー配信:1月13日~1月26日)
本セミナーは、SA Medicineの新特集
「診断に導く思考戦略~第一線ではどう考える~」2月号の
「嘔吐:総合内科医の視点」(執筆:大森先生)では取り上げきれなかった、
臨床で陥りがちな3つのケースを紹介し、解説していただいています。
EDUWARD MEDIAでは、同講義を見逃してしまった先生方に向けて、
セミナーダイジェスト記事を掲載しております。
前編ではケース1を紹介、後編ではケース2とケース3を紹介します。
前編を見逃した方はこちらからご覧ください▼
https://media.eduone.jp/detail/10272/
本記事をご覧いただいたうえで、
「落とし穴」を含む「嘔吐」に対する見識を深めていただけますと幸いです。
■EDUWARD Press 社名変更記念セミナーについて■
2021年2月12日(金)まで開催。
各雑誌にご協力いただいている獣医療のトップランナー講師陣の講義を受けられる、特別企画です。
お申込み方法など詳細は下記ページをご確認ください。
https://academy.eduone.jp/shs/
※EDUWARD Pressの獣医療雑誌を定期購読されている方には、無料でご視聴いただけるクーポンをお届けしています。定期購読をされており、これからセミナーにお申込みされる方はご活用ください。
(2020年12月15日までに定期購読をお申込みいただいている方が対象になります)

ケース2『嘔吐の症例におけるスクリーニング検査の重要性』について
まずこの症例のポイントとなるキーワードから説明します。
それは「どんなときでも、凡事徹底が重要である」ということです。
今度は野球の例えですが、Aチーム対Bチームの戦い、Bチームが5回の裏、1-0で勝っています。ワンアウトランナー1塁、打順がピッチャーに回ってきました。ここで監督は何をサインとして出すと思いますか?
野球好きな方ならわかると思うのですが、バントですね。2ストライクに追い込まれても、バントでランナーを2塁に進めようとします。
このように当たり前のことを徹底して実践する、これが「凡事徹底」です。プロ野球を観ていてもこのような凡事徹底ができているチームは強い印象です。

「そんな野球の話、どうでもいいのでは?」とツッコミが入りそうですが(笑)、この「凡事徹底」を頭に入れながらケース2を考えていただきたいと思います。
■プロフィール:雑種猫/6カ月/雄/体重2.5㎏(全盛期同じ)/混合ワクチン接種済
■現病歴:2週間前から1日1~数回の嘔吐が認められる。制吐薬には反応するが、投薬をやめると嘔吐が再発する。全身状態に問題はなく、元気・食欲も100%ある
この症例で着目したいのは6カ月齢という若齢の猫、というところです。
若齢の猫で慢性的な嘔吐や下痢という場合、リンパ腫が疑われるかというと、もちろんゼロではないですが、可能性は低いと思います。
そういった症例に対して問診・身体検査のポイントは何か、そしてスクリーニング検査として何を行うべきなのかといったところをみていきたいと思います。
まず嘔吐症例に対する問診のポイントですが、私自身が特に重要視しているのは「吐物の性状」「食事との関連性」「嘔吐以外の症状」です。
(吐物の性状についてはSA Medicine 2021年2月号に詳しく記載していますのでご覧ください)