今回は、五臓に引き続き臓腑の「腑」についてと、中医学的にみる病気の原因について、お話していきます。
診察の際にも「これは寒邪の影響かも?」などと、いつもとは違う症状の診方ができるようになると面白いですよ。
「腑」と「奇恒の腑」のはたらき
腑は臓と裏表の関係にある「六腑」と「奇恒の腑」があるということは第6回でもお話しました。
六腑のそれぞれの働きは以下の通りです。
そういえば、前回も「心包(しんぽう)」が出てきていないとお気づきの方もいらっしゃるでしょうか。
「心包」は、心を包んで保護する役割のあるもので、臓に分類されますが、他の臓とは違い、心とほぼ同じ働きをもつものです。ただし、心の代わりに仕事をする「臣使の官」とも呼ばれます。
「奇恒の腑」には、脳・髄・骨・脈・女子胞(胞宮)・胆が含まれますが、上図のように、「胆」は六腑にも含まれ、奇恒の腑にも含まれるのが興味深いですね。例えば「胆が据わる」とか「胆力」という風に、精神力や決断力を表す言葉にも胆が使われていますが、六腑として胆汁を生成するのみならず、奇恒の腑として「肝」とともに精神活動にも役割を果たしていると考えられています。
こうしてそれぞれ表裏の関係にある臓腑や奇恒の腑が密接に関係し、お互いに促進したり抑制し合ったりして、整体として成り立つようにバランスをとって生命活動を行っています。