発展の鍵は、学会活動と論文投稿

―お話を伺っていると、画像診断の分野は研究でも臨床でもさらなるボトムアップが図ることができそうですね?
 ポイントは二点あると思っています。学会活動と論文投稿の活性化です。
 学会には一般演題、教育講演、シンポジウム、など様々な発表の場が存在しますが、現状では一般演題とその他とに分けられており、一般の先生方が一般演題以外の場で発表する機会がほとんどないのが現状だと思います。教育講演もシンポジウムも、既に名の通った先生方が指名され、持ち回りで発表する、これが現状だと思います。しかし、本来シンポジウムと教育講演は異なる性質を持つべきものであり、シンポジウムは皆に開かれた場であるべきだと考えています。スピーカーは一方的な指名では無く、公に募り、セレクションされた上で登壇できる。そんな、若い先生方が目指す登竜門となってほしいと強く願っています。若手の先生が数名登壇して「今、自分はこんな症例をみています、こんな研究をしています」と発表し、白熱した議論が展開され、「荒れてきたな」と思いきや経験豊かな座長がうまくまとめていく。そんな場を学会が提供できれば、「ここに出たい」という目標にもなり、研究者でも臨床獣医師でも日々のモチベーションアップにつながるのではないかと思っています。

 それから論文投稿、これはもちろん症例報告でも構わないですが、大事なことは、文章を書き、書いたものを査読・校閲され、その結果ぶつけられるきつい質問に立ち向かい、この相手を納得させるためにはどういうものが不足していたのかを再考する、というプロセスを体験することにあります。学会主導でも出版社主導でもいい、英語でなく日本語でいい、学術論文をもっと気軽に投稿できる環境が作れないか、模索しているところです。