各分野のトップランナーが、どのように学んできたのか。
そして、どのように学びを臨床に活かしているのか。

「明日の獣医療を創る」は、すべての臨床獣医師に捧げるインタビューシリーズ。
第1回は中村 篤史先生です。

※本インタビュー記事は、2017年に取材した記事を再編集したものです。

わからないことがあったら、まず人に聞く

―中村先生は、若手の獣医師がもっと獣医療について学びたいと思ったとき、どのような姿勢であるべきだとお考えでしょうか?
 私が自分の病院のスタッフを指導するときには、どうやって学ぶか、つまりどうやって情報を手に入れるかが大切だと伝えています。
 現代では勉強しようと思えば本や雑誌もたくさんあるし、ネットで調べれば知りたいことは何でも知ることができ、『情報』そのものに価値のない時代です。重要なのは状況に応じてどう調べ、どのように解釈するか、という点です。
 


私が若手の先生におすすめしたいのは、「わからないことがあったときは、まず信頼できる人に聞く」という方法です。文献を読むより理解している人に聞く方が、ずっと効率がよいですし、教科書に書いていないことや、そこから派生したことも教えてもらうことができます。
 
 はじめは、わからないことをあれこれ聞くことに気後れするかもしれません(ときには、煙たがられるかもしれません)。でも、自分がわからないことは、案外、ほかの人もわかっていないことが多いですよ。だから、人に聞くことは自分のためだけでなく、周りの人のためにもなります。
 私の大学時代の恩師は非常に聡明な方でしたが、常に「わからないことは何でも聞きなさい。僕も君に聞くから」という風におっしゃられていました。わからないことは先生も学生に聞く、それは少しも恥ずかしいことではないと、そのときに教えられました。