犬を飼うことに伴う飼い主の責務として、狂犬病予防法により犬の登録と狂犬病ワクチンの接種が義務づけられています。具体的には犬(生後90日を経過)を取得した日から、30日以内に市町村長に登録を申請しなければなりません。

また、犬の所有者は狂犬病の予防接種を毎年1回受けさせなければならないとされています。もし、この法律を守らなければ、30万円以下の罰金に処するとの罰則規定も定められています。
実際に多頭飼育など犬の飼い方に問題があり、またワクチン未接種で書類送検された事件が多数報道されています。このように法律でワクチン接種が規定されているにも関わらず、狂犬病予防法を所管する厚生労働省によると、ワクチン接種率が登録頭数の7割にとどまっているとの報道がなされています。

法律違反して登録申請していない未登録犬を加味すると日本全体で4割程度の接種率ではないかとの見方もあります。日本には狂犬病がないとか、室内飼育で他の犬と接触しないとか、副作用が怖いなどという飼い主の気持ちと共に、狂犬病ワクチン不要論を背景に、飼い主が勝手に自己判断で法的な責務を放棄していることを危惧しています。

狂犬病に対して無関心であることへの危惧

2020年に愛知県の病院で外国籍の30代の男性が狂犬病により死亡しました。
男性は2019年の9月ころにフィリピンで犬に左足首を咬まれ、2020年の5月に足首や腰の痛みや水を怖がるなどの症状を訴えていたようです。
患者の国籍は明らかにされていませんが、狂犬病の蔓延国であるフィリピンで犬に咬まれたにもかかわらず何の治療もしなかったことの危機意識の低さに驚くばかりです。
過去に日本人が海外で犬に咬まれたのに病院にも行かずに帰国してから発症して死亡した事例も報告されています。

狂犬病はこのようにヒトを含めた哺乳類が感染し発症すると、ほぼ100%は助からない非常に恐ろしい感染症で、多くの国で今なお発生が報告されているのです(下図参照)。


▼厚生労働省の該当ページ
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/pdf/03.pdf


野生動物などを介した国内への侵入リスクがあるなかで、半世紀以上も国内での発生のない日本の飼い主は、あまりにも狂犬病に対して無関心であることを恐れます。人での狂犬病の発生を防ぐためにも70%以上の犬へのワクチン接種を励行することで、国内でのヒトの感染を防ぐことが可能なのです。