ココに注目①:獣医療におけるHPS診断基準は、病態の本質をとらえていない

人医療では、サイトカインを治療薬として用いるサイトカイン療法で認められる有害事象と、HPSの患者で認められる症状と検査所見が一致することから、HPSは高サイトカイン血症によって生じると考えられています。本来、HPSの診断基準にも「高サイトカイン血症」の項目が組みこまれるべきですが、サイトカイン自体を測定することは困難です。このため、高サイトカイン血症によって上昇するフェリチンが 2 次的なマーカーとして用いられ、高サイトカイン血症に代わって高フェリチン血症が診断基準に含まれています。人のHPSの診断基準は以下の通りです(表 1)。


【表 1 人医療におけるHPSの診断基準】


8 個のうち 5 個を満たすとHPSと診断されます。一方、現状の獣医療では以下の 2 個の項目があてはまるかどうかで診断します(表 2)。

【表 2 獣医療におけるHPSの診断基準】


人医療と比べ、獣医療でのHPSの診断基準は非常に簡素で、高サイトカイン血症を示唆する項目や骨髄以外での貪食像も含まれていません。