「心」の補佐をする「肺」

「心」が頂点に立つ「君主」だったことに対し、「肺」は実際に「気」や「水道(水分)」「経脉や血脉」を調整するために働く「宰相」のような存在です。


肺の主な作用は以下の通りです。

① 気と呼吸をつかさどる:自然界の清気を吸い込み、濁気を吐き出す。自然界の清気から「宗気」を作り出し、それが「営気」や「衛気」(第5回参照)の材料になる。
② 宣発(せんぱつ)と粛降(しゅくこう):気や津液を全身に行きわたらせ(宣発)、下方に下ろしていく(粛降)。
③ 水道の通調:脾から受け取る水液を全身に巡らせる。不要な水液は汗や尿となる。
④ 百脉の朝、治節:血脉と経脉を朝(ちょう)じる(集める)。気機の調整を行い、全身の気の調整に関わる。


上図で「肺」と同じグループに、「鼻」「皮膚」などがありますが、例えばお年寄りの動物で、咳などの呼吸器系のトラブルが増えてくると、鼻も乾燥したり角化が亢進したりすることがあります。また同時に皮膚や被毛のトラブルが増えたり毛が薄くなったりすることもあります。さらに、免疫機能を担当する気「衛気(えき)」(第5回参照)は肺の宣発作用により体表に巡らされるので、この作用が低下すると外邪が侵入しやすくなり、「風邪(風の邪気)」を引きやすくなったりします。