「心」は君主であり生命・精神活動の要

同様に、「心」を見ていきます。
中医学の「心」は、循環器としての「心臓」と同様に①「血脈」をコントロールし、全身に血を循環させる働きがあります。これはそのままですね。
そして、もう一つ重要な役割として、「心」には②「神志(しんし)」という、生命のすべての精神活動を統括する働きがあります。「神」には、記憶や思考、意識など全てが含まれ、五臓の担当するそれぞれの「志」=「肝は怒」「肺は悲」・・・などをまとめる意味がありますから、「心」は「君主の官」と言って、他の臓腑の上に立つ、王様のような役割があるのです。


心の「血脈」をコントロールする働きが悪くなると、動悸や不整脈と言った症状に繋がりますし、「神志」を統括する働きが悪くなれば、不眠や多夢(夢をよくみる)、精神不安定などに繋がります。
そして、改めて五行色体表イメージ図を見ていただくと、「心」と同じグループに「舌」がありますが、心の状態は舌にも表れ、心の不調が舌のもつれや味覚障害として現れることもあります。また、心の志は「喜」ですが、喜びは多ければ多い方が良さそうですよね?しかし、適度な「喜」は心を養いますが、過度になると「神」を失って「失神」するなど心を傷めることに繋がるのです。

鍼灸治療にいらっしゃる患者さんには、例えば人のパニック発作や気分障害と呼ばれるものと同様の主訴の動物もいます。そのような場合も、「心」や「肝」の働きを知っておくと診断や治療の手助けになりますし、実際に向精神薬などを使わずとも症状の改善が期待できます。

いかがでしたでしょうか。
もう年末ですね。それでは皆様、過労に気を付けて!気をのびやかに、良い年末年始をお過ごしください!


青木志織 Shiori Aoki

ウィルどうぶつクリニック

大学在学時より中医学を志す
日本獣医中医薬学院卒業
1 級獣医中医師/獣医推拿整体師
現在、中医学気功も勉強中

こちらの記事もおすすめ