チームでの問題解決の繰り返しが個人とチームの成長を加速させる

―先生が携わっておられる夜間救急は、獣医療の中でも少し特殊な世界かと思います。夜間救急の道に進まれた経緯を教えてください。
 国家試験合格後は、地元(埼玉県大宮市)と都内の一次診療の病院に勤めていました。3年が過ぎたあたりから、疾患ごとの診療パターンも掴めるようになっていたものの、次第に焦燥感を抱えるようになっていたんです。診療の後、「その症例のために、もっとやれることがあったのでは」と、自問自答を繰り返すようになっていました。それで、「このままもがき苦しみ続けるくらいなら、一度、外の世界に出て、疑問を突き詰めたい。そこに答えがあるんじゃないか」と考え、次の道を探すことに決めました。


―TRVAを選ばれた理由は?
 何よりも、中村篤史先生が作った「チームで問題を解決する」というTRVAの空気感が、すごく私の性にも合ったんだと思います。

 実際にTRVAに入ってみると、それぞれが勉強した内容をアウトプットしあって、チームで最善策を徹底検討できることにすごく充実感がありました。その反面、経験も、知識も、スピードも、すべてにおいて自分の力の足りなさを痛感するばかり。先輩方に何とか追いつこうと、人医学領域の学会を聴講したり、海外の論文や成書を読むなど、最初の3の3年間はがむしゃらに努力していました。必死なあまり、かなり生意気だったのではないかと思いますが(笑)、中村先生や先輩方が許して、温かく見守ってくれてたんだなと……。こうして改めて振り返ると、学生時代を含め、本当に人に恵まれてきたからこそ、今の自分があるのだと感謝の想いでいっぱいです。


―2015 年に副院長に就任されましたが、立場が変わるとみえる景色も少し変わったのでは?
 そのあたりから中村先生は講演など外部での活動を積極化されはじめ、「中村先生が外に出て救急を広め、私が病院の中を守る」という関係性ができてきたように思います。そんな中で、常に頭にあったのは、「外で頑張っている中村先生が、いつ帰ってきてもいいように」ということです。スタッフともいつも、「診療レベルを上げよう。中村先生を焦らせるくらいのチームを作って待っていよう」と言って、励ましあっていました。


―中村先生も、頼もしく感じられたでしょうね。―中村先生も、頼もしく感じられたでしょうね。
 そうだといいなと思います。そもそも、中村先生自身が成長に貪欲ですから、私たちも負けてはいられないでしょう(笑)。それぞれが学びを深め、チームで問題を解決して成長を繰り返すことが、個人の、ひいてはチーム全体の成長を加速させるのだと思います。