自由闊達な意見交換でチーム医療の実現へ

―東京大学の内科系診療科では昔から、活発な症例検討会を開催されているそうですね。
 はい。担当医の考え方や最新の診療方法を知り、さらに一つの症例に対して多数の先生がさまざまな角度からの見方を話し合うことで、チーム医療に近い形が実現できると考えています。この検討会では年下の教員でも、「こうしたほうがよかったのでは?」と、かなり突っ込んだシビアな質問をしてくれますし、気づかされる部分もあったりします。こうした自由闊達な気風は大野耕一先生をはじめ、先輩方が守り続けてくださった伝統で、非常にありがたいと思っています。


―最後に、後進の学生や一次診療の獣医師の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。
 研究室の学生にいつも話しているのは、「臨床の現場に必ず立ちなさい」ということです。今の時代は業績が求められがちなので、「多くの時間を研究にあてたい」という学生が多いのですが、やはり、研究に向かうモチベーションはさきほどもお話しした通り、臨床の現場から生まれるものだと私は思うんです。
 また、一次診療の先生方に対しては、我々のような二次診療施設とより緊密な連携をとれるような取り組みができればよいなと考えています。お互い果たすべき役割を尊重し合いながら、より密な関係性を築いていきたいと考えておりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。


富安 博隆

東京大学大学院 農学生命科学研究科獣医学専攻 獣医内科学教室 准教授

【経歴】
2010年 東京大学農学部 獣医学専修 卒業
2014年 東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 修了
2014~2015年 ミネソタ大学Veterinary Clinical Sciences

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