共に未来を担う、 獣医師へのメッセージ

―今、若い先生で専門医を目指している方は多いかと思いますが、金井先生は欧米のような「専門医制度」は日本でも必要だと思いますか?
 必要だと思います。私は専門医ではないので大きなことはいえませんが…、麻布大学には各分野で専門医を取得されている教員が数名いらっしゃいます。一緒に仕事をさせていただく中で感じるのは、専門医とはその分野のベースとなることを知り尽くしている先生のことだと思います。

 動物のからだのことや病態生理を幅広くご存知で、何を聞いてもスカッと答えていただけます。一般的には、「専門医」は「専門性が高く、難しいことを知っている先生」と認識されているかと思います。もちろんそういった面もありますが、ベースやスタンダードを十分に学ばれていて、獣医学を本当によく知っていらっしゃると感じています。新しいことにチャレンジするにしても、土台がしっかりしていないと高くは飛べないですよね。


―先ほどの「教科書に書いてある基本的な部分が重要」という言葉とつながりますね。学ぶことはただ覚えることだけではなく「なぜなのか、どうしてこうなるのか」をじっくり考えながら、しっかりと知識の土台をつくっていくことが大事だということですね。
 仰る通りです! ここ10年で裏付けのある情報が即時に入ってくるようになり、エビデンスに則って治療できるようになったことで、獣医療はレベルアップしてきました。それではこの先の10年で獣医療はどう変わっていくかを考えると、現在、新型コロナ禍でペットが増えているといわれていますが、それは10年後に10歳以上の犬や猫が増えるということに繋がります。我々はペットの寿命が延びている未来に備え、知識の土台を固め、対応力を上げていかなければいけないと思うのです。


金井 詠一

麻布大学

【経歴】
2006年 麻布大学卒業
2010年 麻布大学院博士課程修了
2010年~2012年 麻布大学獣医放射線学研究室共同研究員、狩野病院(埼玉県)勤務医
2012年~ 麻布大学獣医学部助教
2021年~ 麻布大学獣医学部講師

【所属学会】
日本獣医がん学会理事
日本獣医内視鏡外科研究会理事
日本獣医麻酔外科学会

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