急速発酵 脱臭資源化システム「ERS」を製造・販売する株式会社JET(東京都千代田区)は、提供先であるべるちゃんたちのおうち株式会社(山口県下関市)や株式会社トップファーム (北海道常呂郡佐呂間町)などにて、家畜糞尿を処理した液肥や敷料の利用から土壌の脱臭効果の持続を示す実証結果を確認しました。さらに、臭気のある土自体をERSで発酵処理して土地に戻すと同様の効果が得られることから、2023年11月より自治体向けに土地改良 を目的とした営業を開始いたしました。

ニュース概要

1. はじめに | 臭気と土地の価値の連動性
 家畜糞尿は、堆肥化など適切な処理を経て、肥料や土壌改良資材としての有効活用が期待できる貴重な農業資源です。しかし、不適切な管理や不十分な発酵のまま散布を重ね、畜産が盛んな地域では悪臭が広く発生して問題になっています。これらは、現場の労働環境や周辺の生活環境だけでなく、臭気に不慣れな観光客にも影響を与えます。さらには、国外からの投資が活発であり、産業誘致・観光誘致として価値が上がる機会に恵まれるなか、地域一体に広がる悪臭で土地の価値が上がらず、農家の収益機会を逃してしまうことが懸念されます。このような状況を改善するためには、土壌から臭気のもとを手間なく取り除き、その脱臭効果を持続させる必要があります。

2. 実証① | べるちゃんたちのおうち社/液肥の成果物


 2023年3月にERSを設置したべるちゃんたちのおうち株式会社は、乳牛の糞尿を活用して臭わない液肥を製造しています。もとより同社は、牛乳の需要が低迷する昨今において、従来通りの堆肥化・敷料化ができることに加えて、液肥が生成できる利点から導入を決定しました。乾燥せずに液肥にすることで、燃料代を軽減し、経費削減にも繋がっています。2023年10月、約7か月間の稼働を経て、計画通りの処理と悪臭のない成果物を確認し、堆肥舎においても悪臭の解消と脱臭効果の持続を実証しました。今後は、外部への散布に加え、液肥の販売も検討しています。

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3. 実証② | トップファーム社/固形の成果物


 自然環境に負荷をかけない循環型農業を目指す株式会社トップファームは、アニマルウェルフェアを重視した方針のもと、ストレスフリーな環境で牛の成長を支えるため、2022年3月にERSを設置し、肉牛の糞尿を活用した敷料を製造しています。その際のコメントには「SDGsなど企業の社会的貢献を重視する消費者にとって『環境保全への投資』は商品選択の重要な要素になる」とし、糞尿を発酵乾燥させ、牛舎の敷料に再活用したり、牧草の畑に還元したり、さらに堆肥として近隣農家に提供しています。従来、牛舎での悪臭は当たり前でしたが、牛もくつろぐことができ、訪れる方々は驚きの声をあげます。2023年10月、約19か月間の稼働を経て、計画通りの処理と悪臭のない成果物を確認し、牛舎において悪臭の解消と脱臭効果の持続を実証しました。

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4. 特長 | 臭いを抑えつづける、「持続的」な脱臭機能をもつ微生物の力
 JETが製造・販売する急速発酵脱臭資源化システム「ERS」は、微生物による高速発酵脱臭処理(好気性発酵)を行います。従来は数か月ほど要する家畜糞尿の処理プロセスが、ERSであれば密閉状態下たった数時間で悪臭のもとを分解して敷料や液肥を製造することができます。これらの使用により、牛舎の脱臭が可能であり、さらに堆肥として散布した土地の改良に繋がります。
 さらに、臭いが滞積している土をERSの発酵処理で脱臭して土地に戻すことで土壌改良することもできます。定着した微生物は補充や交換を行うことなく働きつづけるため、成果物の脱臭効果が持続します。

▶ ERSによる処理と脱臭効果のイメージ


▶ ERSによる成果物の”5大”メリット
​好気性発酵: 畑の土にやさしい肥料となり耕作農家からのニーズが高い
汚水の発生抑制: 微生物による発酵熱分解で水分が蒸発
悪臭の発生抑制: 殺菌・発酵済みの液肥で、堆肥舎に悪臭が発生しない
発酵期間の短縮: メタンガス発生が少なく、従来よりも短期間で完熟堆肥化
温室効果ガスの抑制: 短期発酵で炭酸ガス由来のメタンガスの発生を抑制