2.更新された最新情報

昨年分より更新された部分は以下の5つです。
・獣医大学卒業者の就職状況の推移(令和4年3月卒の内容に更新)
・家畜及び犬猫の飼養頭数の推移(令和4年2月の内容に更新)
・犬・猫の飼育頭数(令和4年度の内容の更新)
・産業動物獣医師の育成と確保対策(令和5年度の予算240百万円)
・家畜の遠隔診療について(モデル事例や動画の追加)


また、今回新たに2項目が追加されています。
・一般家庭の犬猫の平均寿命
・家畜の遠隔診療の関係通知(動物用医薬品の取り扱いの通知)


獣医師国家試験の令和4年度の実施結果等は更新されていないようです。

この次から、更新された箇所を1つずつご紹介していきます。


◆獣医大学卒業者について
獣医学生の就職状況の推移が最新に更新されています。
令和4年3月卒の内容では、以下のような結果となっています。
(農林水産省調べ、獣医大学卒業者には獣医師免許の未取得者も含みます)

       令和3年卒→令和4年卒
小動物診療    45%→47%
公務員      14%→12%
産業動物診療   13%→11%
会社       昨年より減少(具体的な数値表記なし)
その他      昨年より増加(具体的な数値表記なし)
未定、不明    昨年より増加(具体的な数値表記なし)
の傾向になっています。

このデータは、家畜衛生週報(2022年11月21日)に発表された、令和4年度獣医関係大学卒業者就職状況調査結果からの内容となります。
(会社、その他、未定の数値に関しては、当データではパーセンテージの記載はありません。)
なお、資料には獣医師国家試験の実施結果もありましたが令和3年度実施分ののままとなっています。
獣医師国家試験の実施結果(令和3年度)
受験者数 1,196人(既卒者含む)
合格者数 960人 (合格率80.3%)


ちなみに令和5年2月に実施された、令和4年度の獣医師国家試験については、受験者数が令和3年度より58人増えたものの合格率が7割を下回りっていました。
獣医師の合格率は例年8割を超えているため、今期はコロナ禍の影響を受け、十分な実習や勉強の機会が不足していたことも原因にあげられるかもしれません。

獣医師国家試験の実施結果(令和4年度)
受験者数 1,254人(既卒者含む)
合格者数 877人 (合格率69.9%)

令和6年2月に実施される獣医師国家試験では、岡山理科大学獣医学部の6年生が初めて受験をする年になり、次の国家試験結果にも注目が集まることでしょう。



◆家畜及び犬猫の飼養頭数の推移
家畜頭数は、豚が年々減少している傾向です。昨年データと比べてみると豚は929万頭→895万頭へ34万頭減少しています。肉用牛と乳用牛はほぼ変わらない数値です。
飼養戸数としては、肉用牛、乳用牛、豚それぞれに減少傾向にありますが、肉用牛においては、平成13年(2001年)頃は約11万戸だった数が、令和4年(2022年)の数値では4万戸まで減少しています。


◆犬猫の平均寿命について
ペットフード協会調べの当データは、猫の寿命が15.62歳、犬の寿命が14.76歳となり、その数値は2017年以降、年々寿命が高くなってきています。

内訳としては、犬はサイズごと(超小型、小型犬、中・大型犬)、猫は外に出るか出ないかという分け方でも平均寿命の推移が異なりますので、詳細が気になる方はペットフード協会「令和4年全国犬猫飼育実態調査」のデータをご確認ください。
https://petfood.or.jp/data/

全体としては、大型犬<小型犬が長生きの傾向にあり、外に出る猫<外に出ない猫が長生きする傾向にあります。

この傾向は、ペットは家族の一員であるという意識変化や飼い主のペットへの健康意識が高まっていることもあり、ワクチン接種や予防薬の普及が平均寿命を延ばしている要因ではないかと考えられています。


◆産業動物獣医師の育成と確保対策⁻令和5年度の予算は240百万円⁻
令和5年度の年度予算が240百万円と決定しました。
産業動物診療に携わる人は、令和2年度では4,402人という数字です。

令和2年度の獣医師法第22条の届出状況の内訳によれば、国内の獣医師資格を持つ40,251人であり、そのうちの約1割の数値で少ない数ということがわかります。

さらに、前述の届出状況の内訳では産業動物の個人診療施設に従事している人は1,953人であり、中でも被雇用者(従業員スタッフ)として働いている人の数は387人とあり、次世代の産業動物獣医師の育成が急務となっています。

この対策としては引き続き、
・地域の産業動物獣医師の就業を志す獣医学生への給付支援
・獣医学生の産業動物診療の臨床実習の実施
・産業動物分野での管理職を育成するための長期研修
・現場で必要とされる技術向上ための研修の実施。
・情報通信機器を利用した産業動物分野の効率化

等が取り組まれています。


◆家畜の遠隔診療について
獣医師が頻繁に通うことが難しい地域や、家畜診療所が統合されたことによって往診距離が長距離化してしまい、診療効率が低下した地域が増えています。
それによって令和3年より家畜の遠隔診療の積極活用が推進されています。
今回の更新では、離島農場との遠隔診療や牧場の距離を克服した遠隔診療動画が追加されました。

離島の農場と獣医師を結ぶ遠隔診療~西表島・石垣島・沖縄本島~
https://www.youtube.com/watch?v=TqTmrKl9G9o

獣医師と牧場の距離を克服~くろべ牧場まきばの風遠隔診療~
https://www.youtube.com/watch?v=XtyR1N_HfdU


更新された情報のまとめは以上となります。



今後は、2023年内に獣医師の届出状況の結果等が発表されると予想され、獣医師数の推移には注目です。


獣医事をめぐる情勢の掲載情報の詳細につきましては、農林水産省のホームページにてご確認ください。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/zyui/


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