こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、猫の肥大型心筋症に関わるこちらの論文をご紹介いたします。
猫の好発疾患に関して理解を深めることができるセミナーと合わせてご活用ください。
◇猫の品種別疾患ガイドセミナー 第1部
杉本佳介先生(岡山理科大学)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004261/
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藤原亜紀先生(日本獣医生命科学大学)
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猫の肥大型心筋症:微小血管密度の低下とCD34+間質性細胞の関与
猫の肥大型心筋症(fHCM)はマクロファージ主体の炎症性環境下における間質リモデリングを特徴とし、心筋虚血がその進行に寄与する可能性があると考えられているが、その病理学的変化の一連の流れはまだほとんど明らかになっていない。
本研究は、fHCMの間質リモデリングに関連した構造的変化について、心筋微小血管系と間質細胞の表現型に焦点を当て、さらなる知見を得ることを目的とした。
本研究では、28個の心臓(fHCMと診断された心臓16個と心疾患をもたない心臓12個)を、免疫組織化学、RNA-in situハイブリダイゼーション、透過型電子顕微鏡法で評価した。
形態学的評価では、fHCMでは微小血管密度が統計的に有意に低いことが明らかになった。これは、浮腫液、膠原線維、局所的に増殖する単核細胞の蓄積による間質の拡大とともに進行する毛細血管の構造変化と関連していた。間質細胞は主に線維芽細胞または血管表現型であり、これには常在するマクロファージが大きく関与していた。高い割合でCD34 mRNAが発現しており、前駆細胞の可能性を示した。
これらの結果は、微小血管の変化がfHCMの発症機序において重要な過程であり、CD34+である心筋間間質細胞は発症機序に関与していることが示唆された。
Feline hypertrophic cardiomyopathy: reduced microvascular density and involvement of CD34+ interstitial cells
Vet Pathol. 2022 Mar;59(2):269-283.
Rodríguez, J., Fonfara, S., Hetzel, U., et al.
PMID: 34955067
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