得た情報を一度精査するのも、非常に重要なポイントですね。
基本を大切にしつつも、その基本と合致しない症例の場合、この書籍で紹介している内容やエビデンスをベースにしてもらえれば良いと思います。経験だけではなくエビデンスを色々と調べた結果、飼い主様に納得していただけるような説明ができて、治療に繋げられれば良いですね。
―― 今回、書籍では今までになかったような構成になっていますが、意図はなんでしょうか?
はい。いわゆる成書とされるものでは、診断方法だけ、病態だけといったものも多く、詳しく書かれていないことが多いですが、この本では、僧帽弁閉鎖不全症のステージ分けをしているので、病気の進行に伴ってどの状態でどういう薬剤が必要なのか、投薬量は1種類でいいのか、さらに増量した方が良いのか。他の薬剤も増やした方が良いのか、などすごく詳しく書かれています。

―― 特に注目すべきポイントはありますか?
専門病院での心不全、肺水腫の取り組みについては、専門としていてもそれぞれの病院でそれぞれのやり方があるというのが、この本の特徴の一つでもあるんじゃないかなと思います。一方で、エビデンスに乗っ取った治療を行っていくと、どの施設でも基本は同じような治療を行っているということも紹介したいポイントです。全体的に大学病院が多く載っているので、ステージ分けした症例に合わせてしっかりとエビデンスを使えるような構成にしました。