こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、拘束型心筋症に関するこちらの論文をご紹介いたします。
また先月公開いたしました拘束型心筋症の解説動画がこちらにございますので関連動画としてぜひご活用ください。
◇もう見逃さない!猫の拘束型心筋症の見極め
講師:鈴木 亮平先生(日本獣医生命科学大学)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004224/

拘束型心筋症の心内膜型に進行した猫における心筋機能障害の早期発見
背景:
拘束型心筋症 (RCM) は猫によく見られる心筋疾患で、心筋肥大を伴わない拡張機能障害と心房拡大を特徴としている。
特にRCM のサブタイプの1つである心内膜型は、心内膜線維症や心室中隔と左心室 (LV) 自由壁を架橋する心内膜瘢痕、LVの不整によって特徴付けられる。
ただし、心筋機能障害と心内膜瘢痕がRCMの病態生理の進行にどのように寄与するかは不明です。
症例提示:
3歳2か月の未去勢雄のドメスティック・ショートヘア、心雑音が聴取されたため紹介された。
0 日目では顕著な異常所見として心室中隔と LV自由壁を架橋する腱索様構造物があり、その結果、左心室に高速血流が生じた。
心電図、胸部レントゲン、非侵襲的血圧測定は正常だった。
左心房の拡大は観察されず、左室流入滅流速度は異常な弛緩パターンを示した。
組織ドプラーから導出される心筋運動速度では異常は認められなかったが、
2次元スペックルトラッキング法(2D-STE)では、0日目にLV長軸ストレインの減少とLV円周方向の心外膜対心内膜比の増加が明らかになった。
468日目には、明らかな左心房拡大ともやもやエコーが観察された。
LV 流入血流速度が融合され、組織ドプラーから導出される中隔僧帽弁輪の早期拡張期心筋速度が減少した。
2D-STEに関しては、左室周方向のストレインがさらに減少し、右心室のストレインも減少した。
全身状態は良好であったが、以上の所見から心内膜RCMと診断した。
503日目に、その猫はレントゲン検査にて肺水腫およびうっ血性心不全を示した.
結論:
このケースのような異常なLV 構造と関連する心筋機能障害を持つ猫は注意深い観察が必要である。
さらに、2D-STE 指数はネコのRCMにおける心筋機能障害の早期発見に役立つ可能性がある。
Early detection of myocardial dysfunction in a cat that gradually progressed to endomyocardial form of restrictive cardiomyopathy.
Takahiro Saito., Ryohei Suzuki
BMC Vet Res., 2021 Aug 14;17(1):274.
PMID: 34391430
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https://media.eduone.jp/list/106/123/