こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、猫の心雑音に関するこちらの論文をご紹介いたします。
心雑音から的確に情報を得るために知識を身につけていきましょう。
聴診テクニックを解説したこちらの動画とあわせてぜひご活用ください。
◇聴診テクニックアップデート 第1回【聴診のコツ・ポイント】
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004187/
◇心電図読図法 -Standard- ①ファーストステップ・心拍数の求め方
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1003752/
講師:新実誠矢先生(麻布大学 小動物外科学研究室)

心雑音が認められた猫856例における有病率と雑音の臨床的意義
背景:
心臓の聴診は、心臓疾患の可能性のある症例を検出するための最も重要な検査の1つである。 心雑音を呈した猫における有病率に関してはいくつかの論文で報告されているが、雑音の原因となる血流の乱れの正確な由来に関する情報はほとんど得られていない。本研究の目的は、健康診断で心雑音が認められた猫における有病率と雑音の臨床的意義を明らかにすることである。
方法:
心雑音の調査のために猫に実施した心臓超音波検査および臨床記録に対するレトロスペクティブ研究。
結果:
完全な臨床記録をもつ猫856例の情報が利用可能であった。
心雑音の原因は93.1%の症例で特定された(血流の乱れが1つの割合は72.3%、2つの割合は26.4%、3つの割合は1.3%であった)。
この集団における心雑音の主な原因は僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)であり(39.2%)、次いで動的右室流出路閉塞(DRVOTO)(32%)、流量雑音(6.9%)であった。
心雑音を有する猫のほとんど(56.7%)が構造的な心臓の異常を認めなかった。
結論:
本研究は、いくつかの心雑音の特徴(タイミング、大きさ、最大強度点)が、雑音の由来となる心疾患の存在を予測できる可能性を示している。
Prevalence and Clinical Significance of Heart Murmurs Detected on Cardiac Auscultation in 856 Cats.
Ferasin, L., Ferasin, H., Cala, A., et al.
Vet Sci., 2022; 9(10):564.
PMID: 36288177.
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https://media.eduone.jp/list/106/123/