こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、大腿骨頭壊死症に関連したこちらの論文をご紹介いたします。
大腿骨頭骨頸部切除の手術動画と合わせてご活用ください。
◇大腿骨頭切除術
講師:川合智行先生(横浜山手犬猫医療センター)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004060/
◇大腿骨頭骨頸切除 ③ 【手術の実際】
講師:藤井聖久先生(くすの木動物病院)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1000757/

犬における動脈および静脈の結紮が大腿骨頭に及ぼす影響
背景:
犬の大腿骨頭壊死モデルを作成するために、動脈と静脈を別々に結紮し、犬の大腿骨頭に対する2つの結紮方法による結果の違いを比較した。
方法:
本研究では24頭のイヌを無作為に均等に2つのグループ(Aグループ:動脈グループ、Bグループ:静脈グループ)に振り分けた。グループAの犬では、股関節の片側の大腿深動脈を結紮した。グループBの犬では、股関節の片側の大腿深静脈を結紮した。術後2、4、6、8、10、12週目に各グループから2頭ずつ無作為に選択し、選択時期に応じてA1~A6群、B1~B6群とした。犬は両側の股関節のX線検査(DR)と磁気共鳴画像法(MRI)のプレーンスキャン(1.5 T)を受けた後に、安楽死となった。
組織切片のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色と病理組織学的評価を行った。
結果:
Bグループの犬では、モデル確立後4週目に脂肪細胞が結合して嚢胞を形成するなどの異常な病理学的変化が観察された。MRI検査では、6週目に信号強度の異常を認め、10週目に大腿骨頭壊死部に線維細胞の再生が確認された。同時に、組織修復の指標と新鮮な肉芽組織が出現した。Aグループの犬では、間質性の出血や浮腫などの変化は、モデル確立後6週間まで病理切片に認められなかった。MRI検査では、8週目に大腿骨頭の体重がかかる部分に線状に低信号な像が見られるなど、異常所見が認められた。12週目には壊死した部分に新生血管が出現したが、線維細胞や組織の増殖は確認されなかった。
結果:
犬における大腿骨頭の主静脈結紮による大腿骨頭壊死の発生と進行は、動脈を結紮した犬よりも早く現れ、壊死や修復などの病理学的変化は、静脈グループの犬で動脈グループの犬よりも顕著であった。
Effect of ligating dogs' arteries and veins on femoral heads
Liu, Z., , Feng, D., Chen, H., et al.
J Orthop Surg Res., 2022; 25; 17(1): 125.
PMID: 35216590.