ココに注目②:得意分野をもちたい!動物看護教育のこれから

アンケートでは「専門分野や得意分野をもちたい」という意見もありました。

人医療では『専門看護師』や『認定看護師』という日本看護協会が定める資格認定制度があります。以下に、左向先生の解説を記します。

専門看護師
専門看護師は、「がん看護」など専門分野の看護のスペシャリストとして活躍する看護師です。

よりよい看護を行うために、看護師やほかの医療職従事者の相談に乗り、専門知識を活かしたアドバイスによって問題の解決を図るほか、日々の看護における課題を研究対象とし、研究成果を実践に還元することで看護の質の向上に貢献します。

資格取得には、看護系の大学院での博士課程の修了や単位の取得などの条件があります2)

認定看護師
一方、認定看護師は、ほかの看護師の手本となり、専門知識や看護技術などを指導することで水準の高い看護を行えるように働きかけたり、看護の現場で直面する問題や疑問の相談に乗り、改善策を導き出せるよう支援したりする看護現場のスペシャリストとして活躍する看護師です。

日本看護協会の定める条件3)をクリアし、認定看護師認定審査に合格することで取得できる資格です。


これらの解説の後、左向先生は動物看護の現場で、専門看護師や認定看護師の制度を設けるために必要な要件として、「まず、獣医療では何が必要とされているかを洗い出すことが大切だ」と話しました。

「動物看護において専門性が求められる分野の一例として、腫瘍科や皮膚科が挙げられます。しかし、現状の動物看護教育では、専門的な知識を身に付けることのできる教育カリキュラムというものは存在しません。こうした専門分野の洗い出しや教育カリキュラムの制定には、獣医師の協力が不可欠です」(左向先生)

また、より高い水準の看護を提供できる動物看護師を排出するために、大学院修了者の増加や学会における研究発表などの活性化が必要であるとも話しました。

現状では、全国の動物看護系大学の大学院修了者は、修士課程・博士課程を合わせてもわずか 100 名足らずという少なさであるそうです。

2021年に、一般社団法人日本動物看護職協会(JVNA)が動物看護に携わる人を対象に実施した最終学歴についてのアンケートでも、動物看護系専門学校が 67.2%、動物看護以外の動物系学科の専門学校が 7.3%と全体の 7 割を占めており(図 2)4)、4 年制大学への編入や卒後教育として大学院に進学する人は少ないという結果でした。

左向先生はこれらのアンケート結果などを解説しつつ、「動物看護教育の将来像として、卒後教育の充実に期待しています。臨床現場の経験者が大学院で研究生として学び、学位や教育資格を得ることなどで、専門性の高い動物看護教育・研究者の育成に携わるほか、教育者の育成などにも関われるようになればよいと考えています」とお話していました。


図2:動物看護に携わる人の最終学歴4)


写真:左向敏紀先生