こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、11月特集テーマである「呼吸器」に関する論文をご紹介いたします。
呼吸器外科に関する知識をアップデートしていきましょう。

一時的気管切開
 稲葉 健一先生(名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニック)
 https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004139/
呼吸器症状をたくさん見てみよう! ~呼吸器のいろは①~
 末松 正弘先生(AMC末松どうぶつ病院)
 https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1000815/

犬モデルにおける脱細胞化大動脈異種移植片を用いた気道再建術

広範な切除後の気管再建は、依然として胸部外科の課題である。
大動脈移植片は気管代替物として期待されている。しかし、臨床的には自家大動脈セグメントが不足しているため、その適用には限界がある。
大動脈異種移植バイオシートが気管代替物として使用できるかどうかはまだ不明である。
本研究では、犬モデルでその可能性を検討した。

その結果、緩やかに脱細胞化した牛頚動脈を用いて気管再建を行ったところ、6カ月後にはすべての犬が気道に関連した症状を示すこと(気道症状)なく生存することができた。移植部の内側では、移植片は残存する本来の気管組織と強固に一体化し、気管内腔の欠損部は明らかな炎症、肉芽、吻合部の漏れ、狭窄なく修復された。また組織学的および走査型電子顕微鏡による検査では、移植片は本来の気管の上皮と同様の繊毛円柱状上皮で覆われており、脱細胞化した牛頸動脈の再上皮化が成功したことが示された。

これらの知見は、大動脈異種移植バイオシートが犬モデルにおいて気管代替物として機能することを示す前臨床試験であり、牛頸動脈の脱細胞化バイオシートが生体人工気管グラフトの材料となる可能性を示唆するものであった。

Airway reconstruction using decellularized aortic xenografts in a dog model.
Cheng, S. F., Wu, S., Li, Q. P., et al.
Organogenesis., 2020; 16(3): 73-82.
PMID: 32674702.


selected by VETS CHANNEL
https://e-lephant.tv/vets-ch/

●これまでの連載は以下のURLから閲覧できます。
https://media.eduone.jp/list/106/123/


こちらの記事もおすすめ