こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
本日は、歯科診療に関わるこちらの論文をご紹介いたします。
歯原性嚢胞切除の手術動画と合わせてご活用ください!
◇歯原性嚢胞切除術【含歯性嚢胞】
田村和也先生(たむら動物クリニック)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1003985/
◇歯原性嚢胞(埋伏歯)
田村和也先生(たむら動物クリニック)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004101/

犬および猫の未萌出歯における臨床的、放射線学的および組織学的研究:73症例(2001年~2018年)
歯牙萌出不全は、含歯性嚢胞の発生を伴うことがあり、また稀に腫瘍形成に関連する。
しかし犬や猫における未萌出歯および関連疾患の罹患率に関する情報はほとんどない。
本研究の主目的は、未萌出歯を有する犬および猫の疫学的データを記述し、関連する含歯性嚢胞および腫瘍の罹患率を評価することであった。副次的な目的は、嚢胞の発生に関与する可能性のある因子の評価および含歯性嚢胞の組織学的特徴の記述であった。
2001年から2018年3月までに受診した、臨床的に歯が欠損している飼い犬および猫の医療・歯科診療記録、口腔内写真、口腔内X線写真を検討した。収集したデータは、臨床徴候、発症理由、未萌出歯の数および種類、深さと角度、嚢胞性病変または腫瘍の存在、患歯の異常、病理組織学的所見、実施した治療と転帰を含んだ。
73匹(犬69匹、猫4匹)、113本の未萌出歯が対象となった。犬で最も高頻度に認められる未萌出歯は第1小臼歯(78%)であり、次いで犬歯、第3大臼歯であった。犬では48本の歯(44.4%)、猫では5本中1本の未萌出歯が、含歯性嚢胞と診断された。犬の罹患歯は主に水平傾斜(40%)と軟組織包埋(77%)であった。これらは短頭種の犬種に多くみられた。またボクサー犬の未萌出歯は第1小臼歯のみ(32本)であり、未萌出歯をもつボクサーの90%で関連病変が発生した(含歯性嚢胞25例、腫瘍1例)。エナメル上皮腫2例(犬1頭、猫1頭)、骨肉腫1例(犬1頭)が、3本の未萌出歯に関連して診断された。X線写真で確認できない2つの歯原性嚢胞の診断には、組織検査が不可欠であった。
追跡調査を行ったすべての症例で治療(抜歯、抜歯および外科的掻爬または歯肉弁切除)が成功したようにみえた。未治療の含歯性嚢胞については、再検査時に進行が認められた。また診断時に嚢胞を認めなかった未萌出歯において、初期の嚢胞発生は認められなかった。評価した因子はいずれも、萌出不全や関連病変の発生に関連しなかった。
A Clinical, Radiographic and Histological Study of Unerupted Teeth in Dogs and Cats: 73 Cases (2001-2018).
Bellei, E., Ferro, S., Zini, E., et al.
Front. Vet. Sci., 2019; 6: 357.
PMID: 31788479.
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