こんにちは。VETS CHANNEL事務局です。
今回は犬および猫の涙液に関する論文を紹介いたします。
眼科に関連するこちらの動画と合わせてご活用ください!
◇眼科検査、出来てますか? ~眼科のいろは~
講師:梅田 裕祥先生(横浜どうぶつ眼科)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1000612/
◇涙点拡大
講師:寺門 邦彦先生(ペテモどうぶつ医療センター相模原)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1003891/

健康な犬および猫の涙液量と涙液ターンオーバー速度の蛍光光度法による評価
目的:
本研究は、眼科学のトランスレーショナル・リサーチによく用いられる2項目である健康な犬と猫の
涙液量(TV)と涙液ターンオーバー速度(TTR)の標準的なデータを確立するものである。
方法:
頭蓋骨の形態(短頭種、中頭種、長頭種)が異なる様々な品種の犬36頭、猫24頭を対象とした。10%フルオレセイン2 μLを両眼の眼球結膜に投与し、0、2、4、6、10、15、20分後に2 μLの毛細管で涙液を採取した。涙液のフルオレセイン濃度をコンピュータ走査型眼用蛍光光度計で測定した。TVとTTRは、フルオレセイン減衰曲線の非線形混合効果分析に基づいて推定された。
結果:
犬ではTV、basal TTR(bTTR)、reflex TTR(rTTR)の中央値(四分位範囲)が、それぞれ65.3 μL(42.3-87.9)、12.2 %/分(3.7-22.1)、50.0 %/分(25.9-172.3) であった。
猫ではTV、bTTR、rTTRの中央値(四分位範囲)が、それぞれ32.1 μL(29.5-39.9)、10.9 %/分(3.0-23.7)、50.0 %/分(28.4-89.4) であった。
犬では体重(r=0.44)および年齢(r=0.30)が、TVと正の相関を示した(P≦0.019)。また犬(r=-0.33)および猫(r=-0.24)において、年齢はTTRと負の相関を示した(P≦0.018)。しかし、TVおよびTTRはいずれの種においても頭蓋骨の形態と関連を示さなかった。
結論:
犬は猫よりもTVが大きいが、bTTRおよびrTTRは同程度であった。TVは体重と年齢に影響されたが、頭蓋骨の形状には影響されなかった。両種ともbTTRは約11-12 %/分であることから、臨床・研究環境において涙液層の補充に十分な時間を確保するためには、連続した涙液検査は10 分以上の間隔をあける必要がある。
Fluorophotometric Assessment of Tear Volume and Turnover Rate in Healthy Dogs and Cats.
Sebbag, L., Allbaugh, R. A., Wehrman, R. F., et al.
J. Ocul. Pharmacol. Ther., 2019; 35(9): 497-502.
PMID: 31381493
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