当コラムでは、獣医療現場で働く人のために、就職活動に関する内容をお届けしてまいります。
(Hippo-Works Facebook等でご紹介した記事も含みます)

春から夏は就職を見据えて病院実習の活動が始まる季節ですが、同時に気候が暖かくなるにつれてノミやマダニ、さらにはフィラリア(犬糸状虫)を媒介する蚊も活動的になります。

そこで今回は、ノミ・マダニの駆除、フィラリア症の予防の必要性についてご紹介していきます。

寄生虫対策のはなし

■駆除・予防の重要性
入院やホテルなどで動物を預かる際に、院内での伝播を防ぐため、ノミ・マダニの駆虫薬の投与を必須としている病院もあります。
ノミやマダニは吸血性の節足動物ですが、犬や猫に寄生することによって皮膚炎を引き起こしたり、マダニの大量寄生では貧血を起こしたりすることもあります。
また、マダニは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスのような他の病原体を媒介します。さらにヒトに対しても吸血するので、飼い主さんだけでなく獣医療スタッフも気をつけなければなりません。

蚊の媒介によって感染するフィラリアは、犬や猫の心臓に寄生するため、感染後に放置しておくと命の危険があります。いずれの寄生虫に対しても疾患を防ぐことができるので、適切なタイミングと投与方法で薬を投与することが大切です。


■投薬の時期
フィラリア症の原因となるDirofilaria immitisは蚊の吸血に伴って感染するため、フィラリア予防薬の投薬期間はおおむね蚊の発生後1ヵ月から蚊の発生終息後1ヵ月までとされています。そのため、投与期間はそれぞれの地域の気候や環境によって前後し、沖縄であればほぼ通年、北海道であれば夏から秋までと差があります。
一方、ノミは室内でも越冬する可能性があるため、通年の投与を推奨している地域も多くみられます。


■技術進歩で増える選択肢
ノミ・マダニ駆除やフィラリア症予防薬の剤型は外用薬と経口薬の大きく2つに分けられます。外用薬は液剤、経口薬は錠剤が一般的です。
犬や猫に薬を飲ませることに慣れていない飼い主さんに定期的な投与は負担になります。首の後ろに液剤を滴下するタイプ(スポットオンタイプ)の外用薬は比較的投与が簡便なので、薬を飲むのが苦手な動物、とくに猫に対しては利用しやすい剤型です。しかし、外用薬の場合は薬剤が乾くまで時間がかかったり、動物がじっとしていないと上手く滴下できなかったりというデメリットがあります。
これに対し薬を飲ませることに慣れている場合、経口薬のデメリットは少なく、薬の吐き戻しがなければ投与の確実性が高いためその需要が高まっています。

近年、製薬技術の進歩によって、犬や猫が好む風味を付けたフレーバー錠やチュアブル錠が開発されたり、錠剤の縮小化が進んだりして、経口薬のラインナップも豊富になっています。
また、ノミ・マダニ駆除薬とフィラリア症予防薬の合剤も多くみられ、投薬が一度で済ませられるようになるなど、飼い主さんの選択肢は増える傾向にあります。


さいごに
実習中はさまざまな駆除薬、予防薬の名前を耳にすることが多くなりますのでしっかり覚えておきましょう!


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