こんにちは!VETS CHANNEL事務局です。
今回は貧血に関するこちらの論文をご紹介いたします。
鑑別診断の考え方を解説している動画と合わせてご活用ください!
◇犬と猫における貧血の分類~鑑別のための基礎的知識~
講師:富安博隆先生先生(東京大学)
https://e-lephant.tv/vets-ch/vetspay/1004024/

犬の原発性免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の全血RNA配列解説から得られた疾患発症メカニズムに関する新たな知見
免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、血管内を循環している赤血球に対する自己介在性攻撃を特徴とする致死的な自己免疫疾患である。この疾患は、犬とヒトの両方にみられるが、犬でより顕著である。
未治療の犬の全血のRNAシーケンスを用いて、新たにIMHAと診断された犬における遺伝子発現のトランスクリプトームワイドの変化を健康な犬と比較する。
IMHAと診断された犬において、好中球機能、凝固、造血に関連するパスウェイで、多くの遺伝子が過剰発現していることが判明した。特に、最も過剰発現していた遺伝子は、細胞膜の内葉から外葉へホスファチジルセリンの外部化を媒介するホスホリパーゼスクランブラーゼであった。この遺伝子ファミリーは、凝血カスケードの開始としても赤血球のプログラム細胞死が決定的に重要であることを示している。予想に反して、リンパ球の機能に関連する多くの遺伝子の発現が著しく低下していることが判明した。また、罹患犬では炎症反応や赤血球の再生に強く関連する遺伝子群も同定された。診断後30日時点で生存した犬と死亡した犬を識別する遺伝子は見つからなかった。また、罹患動物の血液中に微生物に関連する遺伝子シグネチャーは見つからなかった。
今後、IMHAの犬およびヒトに対する新たな治療法の開発のために、これらの知見を検証し、考察を評価する研究が必要である。
RNA sequencing of whole blood in dogs with primary immune-mediated hemolytic anemia (IMHA) reveals novel insights into disease pathogenesis
Borchert, C., Herman, A., Roth, M., et al
PLoS One, 2020; 15(10).
PMID:33091028
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