みなさん、こんにちは!
東京都葛飾区で開業している獣医師の進藤と申します。

私が運営している病院は、エキゾチックアニマルの専門病院です。
当院には犬・猫はまったく来院しません。
狂犬病予防接種やフィラリア予防もないので、春の繁忙期もありません(これはよいことなのでしょうか??)。

一般的な動物病院で働く獣医師の皆さんの目には、当院のような専門病院の日常は新鮮にうつると思います。
本連載では、エキゾチックアニマル専門病院での日常を少しずつ紹介していきたいと思います。

※諸事情により、先々週に予告した「症例クイズ:ウサギのフード」は次週以降に公開いたします。少々お待ちください!

どんな爬虫類が来院するのか?

エキゾチックアニマルという言葉で一般にイメージされることが多いのは、爬虫類ではないでしょうか?
熱帯雨林や砂漠地帯に生息する種類も多く、ワニやオオトカゲ、ニシキヘビなど、
日本に生息していないような大きくて色もカラフルな爬虫類はまさにエキゾチックと言えるでしょう。

多くの種の習性として、鳴かない、散歩いらない、種類によっては給餌も週に 1 回、それどころかもっと長い期間あげなくても大丈夫という種類もいたりします。
それが現代のライフスタイルにマッチしていて、さらにコロナ禍の巣ごもりも影響しているためなのか飼育者が増加しているようです。

毎週といっていいほど都心部では生体即売会などのイベントが実施され、実際にそのような場所で購入した爬虫類が来院することも明らかに増えてきました。

「なんか知識豊富な爬虫類マニアとかが来るのかな~?」と思っていた方もいるのではないでしょうか。
爬虫類はヘビ、カメ、トカゲ、ワニに大きく分類されますが(*)、来院する種類は偏りがあります。
当院の場合、圧倒的にカメが多く、その割合は 80 %を超えます。
そのカメの中でもリクガメ類とミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)、クサガメ、ニホンイシガメなど日本産の種類がほとんどです。

*分類学上はカメ目、ムカシトカゲ目、有鱗目(ここにトカゲとヘビが入る)、ワニ目である

続いてトカゲとヤモリがいて、ヘビが少しとワニがごくごくわずか。
このようにひも解いていくと、実はそれほど「エキゾチック」な感じではないでしょう?
逆に爬虫類マニアの学生さんが実習に来ると、(おそらく)思っていたより普通の種類ばかり来るので、若干落胆して帰られるケースもあります。
そんなにマニアックな種類ばかりがしょっちゅう来るわけではないですよ(笑)。


図 来院したモンキヨコクビガメ
小型のキャリーやプラケースなどで来院指示を行うと、診察もスムーズです。


図 来院したミドリガメ
ときに大型の個体の診察機会もあります。